7月21日、Eivind Kjosbakkenが「How to Run Claude Code Agents for 24+ Hours」と題した記事を公開した。この記事では、Claude Codeなどのコーディングエージェントを24時間以上中断なく稼働させるための実践的な手法について詳しく紹介されている。
「ボトルネックはコードレビュー」という前提を理解する
著者がこのテーマに取り組むきっかけとなったのは、エージェントがコードを書き終えた後も、人間のレビュー待ちでタスクが何時間も止まり続けるという体験だ。Claude Opus 4.5は長時間の自律的なタスク実行を想定して設計されたモデルであり、その登場を境に、コーディング作業のボトルネックは「実装」ではなく「人間によるレビュー時間」に移ったと著者は指摘する。エージェントがコードを書くこと自体はもはや速い。遅いのは、人間がその結果を確認し、仕様通りかを判断する工程だ。
この前提に立つと、エージェントを長時間自律稼働させることの意義が明確になる。エージェントが自分でテストし、自分でレビューし、完成まで人間を待たせない構造を作ることで、人間のレビュー工数を最小化できる。
長時間稼働を実現する4つの手法
1. 権限を全て付与する
エージェントが途中で権限確認を求めると、その時点でセッションが止まる。Claude CodeおよびCodexにはいずれも「自動承認モード」が存在するため、これを有効化しておくことが第一歩だ。
ただし、権限を広く与えるリスクには注意が必要だ。OpenAIは最近、特定の条件下でGPTがユーザーのファイルを削除した事例があったことを認めている。これを踏まえて著者が推奨する対策は以下の3点だ:
- サンドボックス環境での実行(エージェントの作業領域外に影響が出ないよう隔離する)
- コードをGitHubで管理し、バージョン履歴を保持する
- MacのTime Machineのようなバックアップツールで定期バックアップを取る
2. エージェント自身に成果を検証させる
エージェントに指示を与える際、「何を実装するか」だけでなく「どうなったら完了か」を具体的に伝えることが重要だ。
著者が挙げる例として、デザインカンプの実装がある。この場合、エージェントに対して次のように指示する:
デザインをそのまま実装すること。完了後、デザインのスクリーンショットと自分の実装のスクリーンショットをChrome上で撮影し、両者を比較すること。差異がある場合は報告し、それ以外は完全に一致させること。
ブラウザアクセス(Chrome等)をエージェントに与えることで、このような視覚的な自己検証が可能になる。テストスイートの実行も同様の用途に使える。設計上の制約でデザインと完全一致しない箇所が生じた場合は、エージェントが人間に報告する形にしておくことで、不必要な介入を減らしながら例外だけを人間が処理できる。
3. Codexによるエージェントコードレビュー
著者が「最も簡単に導入できる」として推薦するのが、Codexを使ったエージェントによるコードレビューだ。使い方は2通りある:
- GitHubのPRにCodexをタグ付けすると自動でレビューが走る(GitHub連携機能)
- CLIから2つのブランチを指定してレビューを実行する
著者は後者(CLI経由)を主に使っている。GitHubのタグ付け方式は応答に遅延が生じることがあるためだ。
「コーディングエージェントはコードレビューが非常に得意になっており、新規コードに起因するバグをほぼ排除できる。よほどクリティカルな部分でなければ、人間によるコードレビューはほとんど不要になった」と著者は述べている。
4. エージェントをリモートで稼働させる
ローカルPCでエージェントを動かしている限り、PCを閉じた瞬間にセッションが切れる。これが24時間以上稼働の最大の障壁だ。
著者はMacのフタを閉じても動作するよう「スリープ無効化」を試みたが、発熱がひどく実用にならなかったと述べている。
著者の現在の構成は以下の通り:
- メインPC:普段使い・出張時にも持ち歩くマシンで大半のエージェントを動かす
- サブPC(常時起動):長時間のClaude Code/Codexセッションをここで動かし、中断なく稼働させる。著者はこのマシン上でOpenClawボット(Claudeをベースに構築した自作の自動化ボット)も常駐させているとのことだ
クラウド上での実行も選択肢にはあるが、機密情報(APIキー等)をクラウドに置くリスクとセットアップの煩雑さが難点として挙げられている。
まとめ
長時間エージェント稼働を実現するポイントを整理すると:
- 権限を事前に全て付与し、途中で止まる要因を排除する
- 「完了の定義」をプロンプトに含めることで自己検証ループを作る
- Codexによる自動コードレビューを組み込み、人間のレビュー工数をほぼゼロにする
- 常時起動のリモートマシンでセッションの中断を防ぐ
AIコーディングエージェントが高度化するにつれ、エンジニアの役割は「コードを書く」から「エージェントが止まらない環境を設計する」方向へシフトしつつある。
詳細はHow to Run Claude Code Agents for 24+ Hoursを参照していただきたい。