7月20日、RuntimeWireが「GLM-5.2 leads July's open-weight LLMs as Inkling tops US models」と題した記事を公開した。2026年7月時点のオープンウェイトLLMランキングで最も際立つのは、上位10モデルのうち8モデルが中国のラボ出身という構図だ。首位はZ.aiのGLM-5.2が獲得し、唯一ランクインした米国製モデルは、OpenAI元CTOのMira Muratiが創業したThinking Machines Labの「Inkling」となった。
GLM-5.2が首位、2位集団に7点差
Z.aiのGLM-5.2が、Artificial Analysis Intelligence Indexでスコア51を記録し、オープンウェイトLLMの首位に立った。2位グループとの差は7点。このランキングはダウンロード可能なチェックポイントと利用可能なライセンスを持つモデルのみを対象としており、「APIでしか使えないモデル」は除外される。
GLM-5.2のスペックは以下の通りだ。
- 総パラメータ数: 753B(7530億)
- 推論時の有効パラメータ数: 約40B(MoEアーキテクチャ)
- コンテキストウィンドウ: 100万トークン
- ライセンス: MIT(商用利用制限なし)
- HuggingFace: THUDM/GLM-5.2
特に長期エージェントタスクでの評価が高い一方、タスクあたりの出力トークン数は同ランク帯の競合より多い傾向があった。
トップ10の8割が中国発——唯一の米国モデルはInkling
Z.ai、MiniMax、DeepSeek、Moonshot AI、Xiaomi、Tencentがランキングを占領し、中国勢が上位を席巻している。この傾向はここ数年で加速しており、かつてはGPT系やLlama系の米国製モデルが中心だったオープンウェイト領域において、中国ラボが競争力あるウェイトを積極的に公開する戦略をとったことが背景にある。
| モデル | スコア | 開発元 | ライセンス |
|---|---|---|---|
| GLM-5.2 | 51 | Z.ai(中国) | MIT |
| MiniMax-M3 | 44 | MiniMax(中国) | ※元記事記載なし |
| DeepSeek V4 Pro | 44 | DeepSeek(中国) | MIT |
| Kimi K2.6 | 44 | Moonshot AI(中国) | ※元記事記載なし |
| MiMo-V2.5-Pro | 42 | Xiaomi(中国) | MIT |
| Kimi K2.7 Code | 42 | Moonshot AI(中国) | ※元記事記載なし |
| Tencent Hy3 | 41 | Tencent(中国) | Apache 2.0 |
| Nex-N2-Pro | 41 | Nex-AGI(※国籍は元記事に記載なし) | ※元記事記載なし |
| Inkling | 41 | Thinking Machines Lab(米国) | Apache 2.0 |
| DeepSeek V4 Flash | 40 | DeepSeek(中国) | MIT |
8位のNex-N2-Proを開発するNex-AGIについては、元記事に国籍・所在地の記載がない。上記の「8割が中国勢」という集計はNex-AGIを中国勢として扱わずに算出した場合でも変わらないが、Nex-AGIが中国企業であればその比率はさらに高まる点は留意が必要だ。
この構図において、唯一の米国製モデルとして存在感を示したのがThinking Machines LabのInklingだ。Thinking Machines Labは、OpenAIの元CTOであるMira Muratiが創業した企業として知られる。
Inklingは7月15日にApache 2.0ライセンスで公開された。スペックは総パラメータ975B、有効パラメータ41B、コンテキストウィンドウ100万トークン。テキスト・画像・音声のマルチモーダル入力に対応し、45兆のマルチモーダルトークンでゼロからプレトレーニングしたとThinking Machines Labは説明している。
スコアはGLM-5.2より10点低く、Hy3やNex-N2-Proと同列だが、記事が強調するのはその「存在意義」だ。AnthropicやOpenAIといった米国のフロンティアラボが強力なモデルウェイトを非公開にする戦略をとる中、Apache 2.0で商用利用可能な米国製チェックポイントが登場したことは、エンジニアリングチームの選択肢として実務的な意味を持つ。
注目の2モデルがランク外な理由
7月に最も話題を集めたKimi K3とQwen3.8はランク外だ。
Kimi K3(Moonshot AI)は7月16日にAPIとアプリで公開され、総パラメータ2.8兆、ネイティブビジョン対応、100万トークンコンテキストを謳う。ただし、ウェイトの公開は7月27日予定であり、7月20日時点ではダウンロード不可だった。
Qwen3.8-Max-Preview(Alibaba)も同様に、2.4兆パラメータを主張しつつ、ダウンロード可能なチェックポイント・モデルカード・有効パラメータ数・独立ベンチマーク結果のいずれも提供していない段階だ。現状は「将来オープン化する約束を持つプロプライエタリプレビュー」という位置づけになる。
この区別はエンジニアリングチームにとって実務的な意味を持つ。APIアクセスはテストを可能にするが、公開ウェイトと有効なライセンスがなければ、モデルの検査・ファインチューニング・自社セキュリティ境界内での運用・インフラプロバイダーの切り替えはできない。ランキングが「今日デプロイできるか」を判断基準に置く理由はここにある。オープンウェイトという概念自体、単なる公開の有無ではなく「いつ・どのライセンスで・どの粒度の情報とともに公開されるか」が実用価値を左右するという点を、このランキングは改めて浮き彫りにしている。
詳細はGLM-5.2 leads July's open-weight LLMs as Inkling tops US modelsを参照していただきたい。