7月16日、SiliconAngleが「Nvidia launches Cosmos 3 Edge model and expands its physical AI push in Japan」と題した記事を公開した。Nvidiaがエッジデバイス上でロボットを制御する40億パラメータの小型世界モデル「Cosmos 3 Edge」を発表し、日本では国家規模のAIインフラ「FRONTia」が始動するなど、Physical AI戦略が一気に具体化した。
Cosmos 3 Edge:エッジで動く40億パラメータのロボット用世界モデル
今回のリリースで最も注目すべき技術的ポイントは、Cosmos 3 Edgeの仕様だ。
- パラメータ数:40億(4B)
- ベースアーキテクチャ:NvidiaのNemotronファミリー
- 動作環境:エッジ向けGPU、Jetson T2000/T3000モジュール、RTX GPU、DGXシステム
- 機能:オンデバイスでのビジョン推論、ロボットポリシー(行動指示)の生成
- ファインチューニング:特定のロボット・車両・センサー向けに約1日で適応可能
「世界モデル(World Model)」とは、現実世界の状態を内部でシミュレートし、物理的な環境への対応を学習・推論するモデルのことだ。データセンター前提の大型モデルではなく、ロボット本体や車両に搭載するエッジチップで直接動かせる点が、Cosmos 3 Edgeの特徴である。
Cosmos自体は、Nvidiaがロボットや自律機械向けの学習データ生成・スコアリングに使うワールドファンデーションモデルプラットフォームとして位置づけており、2026年6月には上位世代となるオムニモーダル対応の「Cosmos 3」シリーズを発表済みだ。今回のEdgeバリアントはその派生として、エッジ展開を主眼に設計されている。
あわせて、Metropolisライブラリの新版も公開された。Cosmos基盤のビデオインテリジェンスシステムの構築・運用速度を従来比6倍以上に高めるとされており、コーディングエージェントをトレーニングとデプロイメントに活用する構成をとる。
日本への集中投下:20社超がCosmos Coalitionへ
今回の発表の大部分は日本向けだった。Jensen Huang CEOが来日し、相次いでアナウンスを行った。
Nvidia Cosmos Coalitionへの参加を表明した日本企業は以下の通りだ。
- 産業用ロボット:FANUC、安川電機、川崎重工
- 総合電機・IT:富士通、日立、NEC
- 通信・ソフト:SoftBank、ソニーグループ
- モビリティ・研究:本田技術研究所、Preferred Networks
具体的な取り組みとしては、富士通がFANUC・安川電機・川崎重工と協調制御プラットフォームを構築中。SoftBankはCosmos、Omniverse、Isaac Simを組み合わせたPhysical AI開発基盤を整備している。Groove XはJetsonを使ってLOVOTコンパニオンロボットを動かし、EnacticはNvidiaのIsaac GR00Tモデルを介護ロボット向けにファインチューニング、Telexistenceは小売自動化に応用している。
国家インフラとしてのAIファクトリー「FRONTia」
日本政府とNvidiaは、Nvidiaが「世界初の国家AIインフラ」と位置づけるプロジェクト「FRONTia」も発表した。
- 運営主体:Noetra Corp.
- ハードウェア:Rubin GPU 2万7500基 + Vera CPU 1万3750基
- 消費電力:140メガワット
- 政府支援規模:約24億ドル(経済産業省主導)
- 目的:ロボティクス・デジタルツイン・インテリジェント製造向けのオープンなマルチモーダル基盤モデルを開発
日本政府は2040年までにAIロボティクスのグローバル市場シェア30%超を目標に掲げており、NvidiaとパートナーはこのAIロボティクス市場の規模を1330億ドルと試算している。
Huangは「現代の製造業を発明した国が、次の産業革命のためのAIファクトリーを作っている」と表現した。このFRONTiaの枠組みは、各国政府が外国クラウドに依存せず国内計算資源を確保する「ソブリンAI」戦略の一環でもある。
詳細はNvidia launches Cosmos 3 Edge model and expands its physical AI push in Japanを参照していただきたい。