7月17日、Hassan Mujtabaが「NVIDIA CEO Rips Apart The "Chip Delay" Narrative, Says "Giant Amounts" of Vera Rubin Coming & Unveils Japan's First AI Factory With 27,500 Rubin GPUs」と題した記事を公開した。NVIDIAのJensen HuangがVera Rubinチップの遅延説を正面から否定するとともに、日本初のAIファクトリー建設計画を発表した。
「遅延」の噂をHuangが真っ向否定
ここ数週間、NVIDIA製チップおよびラックの出荷遅延を巡る噂が広まっていた。具体的には、次世代のOberon NVL144やKyber NVL576(Rubin Ultraチップ搭載)における生産コールバックが報じられていた。
これに対してJensen Huangは日本訪問中の取材で、「そうした噂はまったく事実ではない」と明言。Vera Rubinプラットフォームはすでに量産段階にあり、「大量生産」が進行中であると改めて確認した。これは約1週間前の公式否定を再度強調する形となる。
なお、Rubin Ultraについては、4レチクルダイ構成で出荷するか、2レチクルに縮小するかという議論が続いている点は元記事でも報じられており、設計上の最終判断はまだ下されていない段階だ。NVIDIAはBlackwell / Blackwell Ultra立ち上げ時にも歩留まりや構成変更をめぐる不確実性を乗り越えてきた経緯があるが、Rubin Ultraの構成変更については現時点で解決済みとは断言されていない点に留意が必要だ。
日本初のAIファクトリー:27,500基のRubin GPUを搭載
訪日の目玉として、HuangはNoetra Corp.との協業による日本初のAIファクトリーを発表した。Noetra Corp.は日本に拠点を置くAIインフラ企業で、今回の計画では日本政府との連携のもとで国産AIコンピューティング基盤の整備を担う民間主体として位置づけられている。
このファクトリーは、日本政府が推進する「FRONTia(フロンティア)プロジェクト」の一環として建設される。FRONTiaは、AIロボティクス・フィジカルAIを視野に入れたマルチモーダル基盤モデルの国産開発を目指す国家構想であり、産官連携による大規模AIインフラの整備を中核に据えている。政府の公式情報については経済産業省のAI政策ページも参照されたい。
主要スペックは以下の通り:
- Vera CPU:13,750基
- Rubin GPU:27,500基
- データセンター出力:140MW(NVIDIA DSXプラットフォームベース)
- ラック構成:NVIDIA Vera Rubin NVL72
- ネットワーク:Spectrum-Xによるスケールアウト
「日本は近代製造業を発明した。今、次の産業革命を動かすAIファクトリーを建設しようとしている」——Jensen Huang(NVIDIA CEO)
元記事では、このファクトリーの展開に関連する市場規模としてTAM(総市場規模)1,330億ドルという数字が示されているが、この試算の対象市場・時点・根拠については元記事中に詳細な説明がなく、NVIDIAまたは関係者が示した推計値として参照するにとどめるべき数字である点に注意が必要だ。
日本はヒューマノイドロボットの発祥地として知られており、Jetson Thorロボティクスプラットフォームをすでに複数の日本企業が採用済みだ。今回のAIファクトリーはフィジカルAI推進の拠点として機能することが期待されている。
「AIバブルは遠い」——Huangが語る10年スパンの投資論
Huangはテクノロジーサイクルについても言及した。一般的な技術サイクルは10〜15年でピークを迎えるが、AIはまだ初期段階にあるとし、「このサイクルの始まりにいる」と表現した。
さらに別の取材では、「AIバブルとはほど遠い」と述べ、AIインフラの整備は少なくとも10年単位で継続して必要になるとの見方を示した。エージェンティックAI(自律的に目標を達成するAIシステム)の台頭により、AIはいまだ「実用フェーズ」にあり、フィジカルAIや次世代AIの本格展開はまだ先だという認識だ。
「すべての国とすべての企業は、自国・自社のインテリジェンスインフラを所有・管理すべきだ。オープンモデルがそれを可能にする」——Jensen Huang
また、国産半導体を手がけるRapidusとの協業可能性についても問われたが、Huangは「AIの需要はすべての半導体メーカーにとって追い風になる」と述べるにとどめ、具体的なパートナーシップには言及しなかった。Rapidusは2nm世代の量産を目指す日本の半導体スタートアップで、政府主導の半導体復興戦略の中核企業として位置づけられている。