7月16日、gHacksが「Meta Announces First AI Data Center, Prometheus, Coming Online in 2026 With More Superclusters Planned」と題した記事を公開した。MetaのCEO、マーク・ザッカーバーグがThreads上で明らかにした計画は、AI開発競争における自社インフラ戦略の本気度を示すものだ。初の専用AIデータセンター「Prometheus」の2026年稼働に加え、「マンハッタンのかなりの部分を占める」と形容される規模のスーパークラスターを複数建設するという。
MetaのAIインフラ投資、その規模感
ザッカーバーグが公表した計画の骨格は以下の通りだ。
- Prometheus:Metaが初めて建設する専用AIデータセンター。2026年中に稼働開始予定。
- Hyperion:現在建設中の第2スーパークラスター。数年かけて5ギガワット(GW)まで拡張する計画。
- 追加スーパークラスター複数:ザッカーバーグは「そのうちの1つだけで、マンハッタンのかなりの部分を占める」と述べた。
単なる施設の拡張ではなく、この投資の原資は外部資金調達に頼らず、Metaの事業キャッシュフロー(本業収益)から賄う方針だという点も注目に値する。クラウドプロバイダーへの依存を排し、自己資金でこの規模のインフラを積み上げようとしている。
「スーパーインテリジェンス」という言葉の使い方
Scale AIのCEOであるAlexandr Wangは、Metaの取り組みについて「スーパーインテリジェンスの実現に向け、業界で最もエリートで人材密度の高いチームを構築し、数千億ドル規模のコンピューティング投資を行う」と述べた。なお、WangはMetaの社内役職者ではなく、Metaと関係の深いAIインフラ企業Scale AIのトップとして、外部からこの動きに言及した格好だ。
MetaはここでAGI(汎用人工知能)と「スーパーインテリジェンス」を意図的に区別している。前者が「幅広いタスクをこなせるシステム」を指すのに対し、後者は「人間の能力を広範な領域で超えるシステム」と定義している。この区別は、OpenAI、Anthropic、Googleといった競合がそれぞれ異なる用語で最先端AIを表現していることと軌を一にした、ポジショニング上の判断でもある。
5GWという数字が示す現実的な問題
ここで重要な数字を整理しておく。ニューヨーク州は現在、50MW以上のデータセンターの建設許可を一時停止して新規規制を検討中だ。一方、MetaのHyperionが目指す5GWはその100倍の規模にあたる。
この点についてgHacksの記事は以下の論点を挙げている。
- 電力をどこから調達するか
- 送電網の安定性をどう維持するか
- 地域住民が電気料金値上げという形でコストを負担させられないか
- 環境影響評価はどう行われるか
メイン州では今年、データセンターの州全体モラトリアム(建設一時停止)が試みられたが、知事の拒否権で廃案となった。トランプ大統領もビッグテック各社に対してデータセンターの電力消費への責任を求める発言をしている。Metaがこれだけの規模で建設許可・電力協定・地域への便益をどう確保するかが、スケジュール実現の鍵を握る。
インフラを自前で持つ意味
Microsoft、Google、Amazon、Metaは自前の大規模データセンターネットワークを持つ。一方、AnthropicやOpenAIはAmazon、Nvidia、Microsoftといったクラウドプロバイダーとのパートナーシップに依存している。
Metaが自社インフラを持つことで、モデルの更新サイクルや外部公開の速度に自由度が生まれる。こうした大規模インフラ投資の文脈と切り離せないのが、Metaのオープンリリース戦略だ。先日公開されたMuse Spark 1.1はApache 2.0ライセンスで提供されており、自前の計算基盤があるからこそ、外部依存なくこうしたリリースを継続できる構造になっている。クラウド依存の競合とは異なるリリース戦略を取れることも、自社インフラ投資の実質的な意義の一つだ。
今後の稼働スケジュールとしては、Prometheusが2026年、Hyperionは数年かけて段階的に拡張される。未発表のスーパークラスターについては名称・タイムラインともに現時点では不明だ。
詳細はMeta Announces First AI Data Center, Prometheus, Coming Online in 2026 With More Superclusters Plannedを参照していただきたい。