7月15日、The Next Webが「Alibaba stock jumps 4% after Qwen is approved to run Apple Intelligence in China」と題した記事を公開した。中国政府がAlibabaのQwenをApple Intelligenceの提供モデルとして承認し、AlibabaのUS上場株が3.7%上昇した(元記事タイトルは概数表現として「4%」と記載)というニュースを伝えている。
中国でApple IntelligenceがQwen採用で正式承認
Alibabaは7月15日、同社のAIモデル「Qwen(通義千問)」がApple IntelligenceとしてiOS、iPadOS、macOS、visionOSに統合されることを確認した。AlibabaのスポークスパーソンはCNBCに対し「QwenはApple Intelligenceの体験に統合される」と述べた。
中国のサイバースペース管理局(CAC:Cyberspace Administration of China)は、AppleのAIサービスを承認プロバイダーのリストに追加した。HuaweiなどほかのAI製品と並ぶ形で公式に認定された形だ。
この承認により、中国のAppleユーザーはQwenのテキスト・画像の理解・生成機能に、ツールを切り替えることなくアクセスできるようになる。
1年以上かかった規制プロセス
AlibabaとAppleの提携合意自体は2025年2月に成立していた。しかし北京のコンテンツフィルタリング要件とセキュリティ評価プロセスがロールアウトを1年以上遅らせた。
承認プロセスが長引いた背景には、2024年にAppleがAIスイートを発表してからの規制上の手続きがある。Appleは中国でAI機能を提供するにあたり、CACによる事前審査と継続的なコンテンツ監視要件への対応を求められてきた。こうした要件はAppleに限らず、中国市場でAIサービスを展開するすべての外資系企業に課される構造的な障壁となっている。
さらに2025年3月にはApple Intelligenceが承認なしに中国のiPhoneに誤って表示されるインシデントが発生し、Appleが規制リスクにさらされる場面もあった。今回の正式承認はこうした経緯を経て、ようやく到達した節目といえる。
地政学的シグナルとしての意味
このQwen採用は単なる商業契約にとどまらず、どのAIモデルが世界で最も価値ある消費者向けデバイスを動かすかという地政学的な争いの縮図でもある。
米中テクノロジー対立が激化する中、直近の動きをまとめると:
- Alibabaが自社従業員に対しAnthropicのClaudeの使用を禁止した。競合AIとのデータ流通を遮断する動きとして注目される
- 米国の議員がアメリカ企業による中国製AIモデル採用の制限を検討中であり、今回のApple・Alibaba提携が政策議論を加速させる可能性がある
- MetaによるManus(中国企業)への約20億ドル規模の買収計画が破談になったと報道されている。元記事では規制当局や政府の圧力が背景にあったと伝えられているが、北京が直接命令したかどうかについて元記事は断定していない
またAnthropicは以前、AlibabaがClaudeに対して最大規模の「蒸留(distillation)」キャンペーンを実施したと非難している。蒸留とは、既存の大規模モデルの出力を使って別のモデルを訓練する手法で、知的財産上の問題が指摘されている。こうした経緯を持つQwenがApple製品に採用されるという事実は、業界関係者にとって看過できない文脈を持つ。
iPhone上でQwenを動かすPrismMLの圧縮技術
Apple Intelligenceの中国展開と並行して、エッジ推論の観点からも関連する技術動向がある。Khosla Venturesが出資するCaltech発のスタートアップPrismMLは、Alibabaのオープンソース版Qwenの圧縮モデルを公開した。
同社は約54GBのモデルを4GB未満に圧縮し、270億パラメータすべてをiPhone 15以降のデバイス上で動作させることに成功したと発表した。Appleはこの圧縮技術についてPrismMLと交渉中であると報じられている。
この技術はAppleがQwenをデバイス上で直接動かす際の実装手段として文脈上の関連を持つ。エッジ推論(クラウドを介さずデバイス上でモデルを動かす手法)の実用化において、54GBのモデルをほぼ同パラメータ数のまま4GB未満に収めるという圧縮率は、一つの技術的な基準点となりうる数字だ。
詳細はAlibaba stock jumps 4% after Qwen is approved to run Apple Intelligence in Chinaを参照していただきたい。