7月14日、Latent Spaceが「[AINews] Codex usage up >10x in 6 months to 7M users, +1M in the past ~day; did Codex overtake Claude Code??」と題した記事を公開した。OpenAI Codexがわずか6ヶ月でユーザー数を10倍超に伸ばし700万人に到達——その急成長の裏側で「利用枠が異常に速く消える」という問題が発生し、OpenAIが珍しく透明性の高い形で対応策を公開するという一幕もあった。AIコーディングツール市場の勢力図が急速に塗り替わりつつある状況を伝える内容だ。
Codexが6ヶ月で700万ユーザー到達、Claude Codeとの差が鮮明に
OpenAIのコーディングエージェント「Codex」のアクティブユーザー数が700万人に到達した。OpenAIのTibo(@thsottiaux)が7月12日のポストで「過去48時間で600万ユーザーを突破した」と報告し、その約24.5時間後に700万人達成を発表した。7月9日にリリースされたGPT-5.6 Solの投入が、この急加速の直接的な要因とみられる。
成長の規模感を把握するために、既知のデータポイントを時系列で整理すると以下のようになる:
- 2026年1月1日時点: 約55万〜70万ユーザー(OpenAIのFidji Simoによる開示)
- 2026年3月時点: 約200万ユーザー
- 2026年7月13日時点: 700万ユーザー
年初比でざっと10倍のユーザー成長を6ヶ月で達成した計算だ。
Claude Codeとの比較:数字が語ること
競合のAnthropicが公開している直近の数字は、2026年2月時点で「週次アクティブユーザー約200万人、ARR約25億ドル」という開示にとどまる(Anthropic Series G調達時の発表より)。当時の発表では「1月1日からの6週間でユーザー数が2倍になった」とも述べていた。
元記事では、Codexが1月時点で約60万ユーザー、Claude Codeが同時期に約100万ユーザー程度だったとすれば、7月時点ではCodexがClaude Codeを逆転した可能性があると論じている。ただしこれはあくまで両社の断片的な開示値をもとにした推測であり、Anthropic側の現在のユーザー数は公表されていない。断定的に読まないよう注意が必要だ。
Anthropicがユーザー数に関して沈黙を続けている背景には別の事情もある。同社は数ヶ月前にコーディング用途の多くを「Claude Tag」に移行している。Claude TagはSlackと統合されたAIコラボレーションツールで、チームのワークスペース上でClaudeをエージェントとして呼び出しながら複数人が協働できる仕組みを持つ。つまりCLIツールとしての「Claude Code」とは利用文脈が異なり、ユーザー数の単純比較が困難になっている。
GPT-5.6 Sol投入直後に起きた「usage burn」問題
急成長の裏では、技術的なトラブルも発生した。GPT-5.6 Sol投入直後、ユーザーの利用枠(usage)が異常に速く消費されるという問題が相次ぎ報告された。
OpenAIはこれに対し、珍しく透明性の高い形で対応策を公開している:
- 推論最適化による約10%の使用効率改善
- コンテキスト上限を372kトークン→272kトークンに引き下げ(課金・使用量への副作用を避けるため)
- 一部の実験的な推論強度(社内では「juice」と呼ばれる)設定の巻き戻し
- high/xhigh設定での過剰なマルチエージェント動作の修正
開発者のtheo(@theo)は、長いコンテキスト・サブエージェントの大量生成・fast modeの重なりが使用量の急激な消費を引き起こしていたと推察している。この透明な対応姿勢については、Sam Altmanも肯定的に言及した。
コミュニティの反応は割れており、あるユーザーは「これはモデルをnerfしたと言い換えているだけだ」と批判し、別のユーザーは「このレベルの透明性はOpenAIにしては珍しく評価できる」と好意的に受け止めた。
利用枠撤廃と7Mユーザー達成の祝賀ボーナス
OpenAIはさらに、Plus・Business・Proプラン全ユーザーの5時間使用制限を一時撤廃し、700万ユーザー達成を記念してWeekly usageをリセットできるボーナスを全アカウントに付与した。
この動きが、ちょうどAnthropicが「Claude Fable」のサブスクリプション状態を突如延長したタイミングと重なったことで、オンラインでは「偶然ではないのでは」という臆測も出ている(両社の施策に直接的な関係があるかどうかは不明だ)。なお「Claude Fable」はAnthropicが提供する有料サブスクリプションプランの名称で、元記事の文脈ではユーザーへの特典付与施策として言及されている。
現場の実用報告
ユーザー事例の面では、GPT-5.6 Solをいち早く試した開発者・クリエイターからの報告が相次いでいる。SolをCursorに組み込んでBlender MCPをゼロ知識でセットアップしMacBookの3Dレンダリングを完成させた事例や、GPT-5.6 Sol UltraでSQL上にDoomライクなゲームを構築した事例が共有されており、コーディング・コンピューターユース両面での実力を示している。こうした「ゼロ知識からの実用」報告が目立つ点は、ツールのアクセシビリティが向上していることを示唆する。
ベンチマーク面では、**Arenaの実世界エージェントセッション7,800件を用いた評価でGPT-5.6 Solがエージェントリーダーボード2位**にランクインした。定量評価と実地報告の両面でその実力が裏付けられつつある形だ。
AIコーディングツールの競争は、モデルの精度だけでなく、利用制限・価格設定・透明性まで含めた総合的な体験の争いに移行しつつある。
詳細は[AINews] Codex usage up >10x in 6 months to 7M users, +1M in the past ~day; did Codex overtake Claude Code??を参照していただきたい。