7月14日、The Newsが「SoftBank's Masayoshi Son predicts AI will generate 20% of global GDP by 2040」と題した記事を公開した。
ソフトバンクグループCEO・孫正義氏が2040年までにAIが世界GDPの20%を生み出すという大胆な予測を公言し、業界内外で注目を集めている。AIインフラへの巨額投資に対する懐疑論が根強い中、孫氏は「AIバブル」論を真っ向から否定し、年間5兆ドル規模の投資が必要になるとの見通しを示した。ソフトバンクはビジョンファンドを通じてAI・テック分野に積極投資を続けてきた企業であり、今回の発言はその経営哲学と一貫した姿勢を示すものでもある。
年間5兆ドルの投資が必要という試算
東京で開催されたソフトバンクの年次コーポレートカンファレンスにて、孫正義CEOはAIの大規模開発を推進するために2040年までに年間約5兆ドル(約800兆円)の投資が必要になるとの見方を示した。
「毎年5兆ドル、800兆円——嘘だと思うかもしれないが、そうなると確信している」と孫氏は語った。
さらに、2040年にAI関連の収益が世界GDPの20%に達すると予測した上で、その規模感を次のように説明した。「2040年にAIの収益が世界GDPの20%を占めるなら、年間800兆円の支出は誤差の範囲内だ」。
参考として、IMFのデータによれば2024年時点の世界GDPはおよそ110兆ドル規模とされており、その20%は約22兆ドルに相当する計算になる。孫氏の試算はこうした将来の経済規模を前提とした数字だと考えられるが、算出の根拠や前提条件については記事中でも明らかにされていない。孫氏がかつてビジョンファンドを通じてWeWorkやDiDiへの大型投資で損失を被った経緯もあり、大胆な予測に対する市場の目は厳しい面もある。
OpenAIへの巨額投資と「AIバブル」論を一蹴
足元では、データセンター建設などAIインフラへの巨額の設備投資が十分なリターンを生むのかという懐疑論が広がっている。著名投資家やアナリストの一部からは、現在のAI投資ブームをITバブルになぞらえる声も出ている。孫氏はこうした「AIバブル」論を否定し、批判者はAIの本質を理解していないと主張した。
ソフトバンクはOpenAIへの投資を積み上げており、2026年末までの累計投資額は600億ドルを超える見込みだ。OpenAIはChatGPTをはじめとする大規模言語モデルの開発で世界をリードする企業であり、ソフトバンクはその有力な出資者のひとつとなっている。この600億ドルという数字は、孫氏のAIへの強気姿勢を端的に示す象徴的な規模である。
また、ソフトバンクは米国でのAI・インフラ投資を加速させており、トランプ前大統領との会談で米国内に5,000億ドルを投資する「スターゲートプロジェクト」への参画も表明している。こうした一連の動きは、孫氏が単なるビジョンの提示にとどまらず、実際の資金コミットメントでもAI時代への賭けを進めていることを示している。
エネルギー問題と核融合への期待
孫氏はAI普及に伴う電力需要の急増にも言及した。大規模なAIモデルの学習・推論には膨大な電力が必要であり、データセンターの消費電力増大はすでに各国で社会的な課題となりつつある。国際エネルギー機関(IEA)もデータセンターの電力消費が今後急速に拡大するとの見通しを示している。
孫氏は2040年時点でAIインフラが膨大な発電量を必要とすると予測した上で、エネルギー源の候補として核融合に言及した。「イーロン・マスクが言うように宇宙の太陽光を使うのか?両方使うかもしれないが、私が思うに核融合が地上で使える、より安価でクリーンなエネルギー源になる」と述べた。
核融合エネルギーは「究極のクリーンエネルギー」として長年研究が続けられており、近年はNIF(米国立点火施設)による点火成功など実用化への期待が高まっている一方、商業規模での実用化にはまだ課題が多いとされる。孫氏の発言はこうした技術的ポテンシャルへの期待を背景にしたものだ。
大胆なビジョンと市場の見方
今回の発言は、孫氏が一貫して掲げてきた「情報革命で人類を幸福に」というビジョンの延長線上にある。ビジョンファンドを通じた大規模テック投資、そして足元のAIシフトは、その具体的な実践といえる。一方で、世界GDP比20%・年間5兆ドルという数字の算出根拠が公開されていない点は、今後も議論を呼び続けるだろう。孫氏の予測が現実のものとなるかどうかは、AIの技術革新の速度とエネルギー問題の解決、そして各国の規制動向にも大きく左右される。
詳細はSoftBank's Masayoshi Son predicts AI will generate 20% of global GDP by 2040を参照していただきたい。