7月14日、CNBCが「The AI boom just found two new winners: Goldman Sachs and JPMorgan Chase」と題した記事を公開した。AIブームの恩恵がNvidiaなどのテック企業にとどまらず、ゴールドマン・サックスやJPモルガンといった大手投資銀行にも波及しており、株式トレーディング部門では前年比最大86%増という衝撃的な数字を叩き出した。
株式トレーディング収益が想定外の急伸
今四半期で最も目を引くのが株式トレーディング部門の数字だ。JPモルガンの同部門収益は86%増の60億ドル、ゴールドマンは72%増の74.2億ドルを計上した。両行合計でアナリスト予想を44億ドル上回るという大幅な上振れだ。バンク・オブ・アメリカも同部門が70%増の36億ドルと追随した。
背景にあるのは、AI関連銘柄の物色が米国外に広がったことだ。バンク・オブ・アメリカのグローバルマーケット共同責任者、スーフィアン・ズベリは「投資家はAIトレードの米国外での最適な反映先を探し始めた。韓国、台湾、日本といったアジア市場に、財団や大学基金、ファミリーオフィスが資金を振り向けている」と説明した。
また、大型インデックスのリバランス(※指数の構成銘柄や比率を定期的に見直し、組み替えること。AI関連銘柄のウェイト増加に伴い売買が活発化する)がトレーディング収益を押し上げた要因の一つとされている。JPモルガンのCFO、ジェレミー・バーナムは「大型IPO、大規模なインデックスのリバランス、アジアでの活発な動き——これらの多くはAIテーマの波及効果だ」と述べた。
両行が過去最高収益を記録
ゴールドマン・サックスの2026年第2四半期収益は前年同期比39%増の203億ドル、JPモルガン・チェースは同27%増の580億ドルと、いずれも四半期として過去最高水準を記録した。
バーナムはアナリストに対し、AIが「金融市場のあらゆる場所に浸透している」と語った。ゴールドマンCEOのデイビッド・ソロモンは「AI設備投資のスーパーサイクル(※特定セクターへの投資が長期にわたって加速し続ける局面を指す業界用語)の真っ只中にいる。世界のあらゆる地域、あらゆる産業で、あらゆる金融手段への資金需要が生まれている」と表現した。ゴールドマンはこの投資サイクルが今後3〜5年続くと見ており、まだ初期段階にあると位置づけている。
投資銀行部門でも超過達成
株式トレーディングだけではない。投資銀行アドバイザリー収益もゴールドマンが55%増の34億ドル、JPモルガンが30%増の33億ドルで、合計でアナリスト予想を10億ドル超上回った。
具体的な案件として、ゴールドマンはSpaceXのIPOでリードアドバイザーを務め、AlphabetによるAI関連の900億ドル規模の株式発行にも関与。さらにドミニオン・エナジーのネクストエラ・エナジーへの売却を助言した。いずれもAIサイクルに起因する取引だ。
ウェルズ・ファーゴのバンキングアナリスト、マイク・メイヨーは、AI投資ブームは第2四半期にティッピングポイント(※トレンドが一気に加速・定着する転換点)に達したと評し、ゴールドマンとJPモルガンの目標株価を引き上げた。
銀行自身もAIを内製活用
銀行はAI関連案件で手数料を稼ぐ一方、自行内でもAI活用を進めている。ズベリは「AIが業務プロセスの効率化を通じてバンキングを変えている。そして銀行なしにはデータセンターへの融資もできないという意味で、バンキングがAIを支えている」と語った。AIは銀行にとって単なる収益源ではなく、業務変革の手段でもあるという二重の位置づけが鮮明になっている。
今回の決算を受け、ゴールドマン株は午後の取引で8%高、JPモルガン株は2%高で引けた。テック株主導とされてきたAIブームが、金融セクター全体の地殻変動を引き起こしつつある局面を、今期決算は象徴的に示した。
詳細はThe AI boom just found two new winners: Goldman Sachs and JPMorgan Chaseを参照していただきたい。