7月11日、Rahim Amirが「Proton makes its Lumo privacy-first ChatGPT alternative a lot more powerful」と題した記事を公開した。Protonがプライバシーファーストを掲げるAIアシスタント「Lumo」をバージョン2.0へ大幅刷新し、推論モード・画像生成・ライブWeb検索・永続メモリを統合した実用的なChatGPT代替として強化した内容を伝えている。
ゼロアクセス暗号化のまま、マルチモーダルへ
ProtonはVPNやメール(ProtonMail)で知られるプライバシー特化の企業だ。同社のAIアシスタント「Lumo」が今回2.0へと刷新された。
最大の変化はマルチモーダル対応だ。テキスト処理だけだったLumo 1.4に対し、Lumo 2.0は以下の機能を追加している。
- 推論モード(ThinkingモードとFastモード):前バージョン比2倍のコンテキストウィンドウ
- 画像生成・画像認識
- 引用付きライブWeb検索
- 永続メモリ(セッションをまたいで指示を保持)
- Custom Lumos(用途別のカスタムアシスタント)
プライバシー面では、ゼロアクセス暗号化(Zero-Access Encryption)によりチャット履歴や画像をProton自身も参照できない構造を維持しつつ、推論時の保護はProtonの「ログ非保存・学習非使用」ポリシーで担保する設計だ。ゼロアクセス暗号化とは、サービス提供者がデータを復号できない形で保存する方式で、ProtonはメールやDriveで同様の仕組みを採用している。
Custom Lumosとは何か
今回の更新で追加された「Custom Lumos」は、用途別にカスタマイズしたアシスタントを複数作成・切り替えできる機能だ。ChatGPTの「GPTs」やClaudeの「Projects」に相当する位置づけといえる。
たとえば「コードレビュー専用」「ドキュメント草稿用」「特定プロジェクト向け」といったアシスタントをあらかじめ設定しておくことで、毎回コンテキストを与え直す手間が省ける。永続メモリと組み合わせることで、セッションをまたいで役割・ルール・前提情報を保持したまま作業できる。こうした構成は、日常的にAIを業務に組み込んでいるユーザーにとって実用上の差が出やすい部分だ。なお、これらの機能はLumo Plus以上のプランで利用できる。
ベンチマーク:前世代比では大幅改善、最新フロンティアには及ばず
パフォーマンス面では、Lumo 2.0 Liteが前世代比127%増、Lumo 2.0 Maxが240%増(Artificial Analysis Intelligence Index基準)という数字が示されている。日常的なクエリでは76%の高速化が達成されているとされる一方、複雑なタスクでは依然として処理時間がかかるとProton自身が認めている。
ただし、最新フロンティアモデルとの差は無視できない。記事はこの点を正直に指摘している。以下は元記事が引用しているスコア表だ(モデル名は元記事の記載に準拠する)。
| モデル | Artificial Analysis Intelligence Indexスコア |
|---|---|
| Claude Fable 5 | 60 |
| GPT 5.6 Sol Max | 59 |
| Lumo 2.0 Max | 51 |
Lumo 2.0 Maxのスコアは51であり、表中の最上位モデルとは差がある。元記事はこのギャップを隠さず示した上で、プライバシー保護との兼ね合いを評価軸として提示している。
なお、Lumoが使用している基盤モデルはProtonのプライバシーポリシーに記載されており、元記事によればQwen 3.5、GLM 5.2、Image-Turbo、FireRed-Image-Edit-1.1のミックスであることが確認できるとされている。これらのモデル名は元記事の記載に基づくものであり、各モデルの最新状況については元記事およびProton公式も合わせて参照されたい。
料金体系
プランは3段階だ。
- 無料(Free):日常的なプライベート利用向け
- Lumo Plus:月額$12.99 無制限チャット、Projects機能、高度な画像生成、最上位モデルへのアクセス
- Lumo Professional:$14.99/ユーザー チーム向け
ビジネスユーザー向けにも同等の機能が提供される。
「プライバシーとAI性能のトレードオフ」への現実的な答え
ChatGPTやGemini、Claudeはいずれもユーザーデータをモデル改善に活用し得る構造を持つ。それに対しProtonは「学習に使わない・ログを取らない」を軸に差別化してきた。Lumo 2.0はその方向性を維持しながら、機能的な空白を埋めにきた更新だ。
最新モデルとの性能差は依然として存在するが、「プライバシーを犠牲にせずに実用的なAIアシスタントを使いたい」というユーザーに対しては、現時点で最も整った選択肢の一つといえる水準に到達している。
詳細はProton makes its Lumo privacy-first ChatGPT alternative a lot more powerfulを参照していただきたい。