7月10日、The Next Webが「MiniMax raises $2bn as its CEO forgoes pay until AGI」と題した記事を公開した。この記事では、中国AI企業MiniMaxがCEOのAGI達成まで無給宣言と同日に最大20億ドルの資金調達を発表した件について詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
CEOが「AGI達成まで無給」を宣言
MiniMaxの創業者兼CEO・会長・CTOであるYan Junjie氏は先週金曜日、社内メモで「本日より、AGIを達成する日まで、会社から一切の給与を受け取らない」と宣言した。このメモは香港のSouth China Morning Postが入手し、その後同社役員がX(旧Twitter)に全文を投稿した。
無給宣言に加え、Yan氏は4年間かけて自身の保有株の4%相当を従業員への報酬として配布し、さらに1%をオープンソースプロジェクト向けファンドに充てると約束した。合計5%の株式放出が実際のコミットメントの実体だ。
ただし記事は冷静に指摘する。創業者の資産は株式に集中しており、月給を手放すコストは軽微だ。本質的な犠牲は5%の持分放出の方であり、かつこれは中国AIタレントの引き抜き合戦が激化するなかでの人材定着策でもある。
宣言と同日に発表された20億ドル調達の中身
宣言のタイミングは示唆的だ。同じ日にMiniMaxは大規模な資金調達を発表している。
Bloombergの報道によると、MiniMaxは3,560万株の新株を1株HK$268(約12億ドル相当)で売り出す。これは前日終値に対して約10%のディスカウントだ。あわせて65億香港ドルのゼロクーポン転換社債(2027年満期)を発行する。主幹事はMorgan StanleyとUBSが務める。
株価は発表当日に約10%下落した。早期出資者のロックアップ(株式売却制限期間)が6ヶ月で解除されたタイミングと重なり、新株発行による希薄化も加わった。高値で買ったリテール投資家にとっては二重の痛手だ。
なぜ株価は3月から約80%も下落したのか
MiniMaxは2026年1月に香港で上場し、上海での2次上場も目指している。しかしその後モデルの競争力が低下した。
6月初旬にリリースされた主力モデル「M3」は開発者からの支持を得られず、リリースから1週間で最上位モデルの価格を半額に引き下げた。この値下げは戦略というより失速のサインとして受け取られた。
空いた隙間にはライバルが入り込んだ。Zhipuの GLM-5.2、DeepSeekのV4、Moonshot AIのモデルがMiniMaxから注目を奪った形だ。中国のAIモデル市場では現在、DeepSeekが火付け役となった熾烈な価格競争が続いており、MiniMaxはその中で価格決定力を失いつつある。
市場環境と今後の焦点
MiniMaxの調達は孤立した出来事ではない。中国テック企業はAI資金の獲得競争を繰り広げており、Zhipuも今週40億ドルを調達し、今年の香港市場における最大規模の株式売り出しの一つとなった。投資家は出遅れ組には厳しい一方で、中国AIへのエクスポージャー自体は引き続き求めている。
Goldman Sachsは同日、MiniMaxについて「バリュエーションは魅力的でモデルはコスト効率が高い」とポジティブな見方に転じた。
20億ドルが買うのは時間だ。 その間に開発者が実際に選ぶモデルを出荷できるかどうか——これが今MiniMaxに突きつけられた問いである。CEOの手紙はAGIまで走り続けると結んでいるが、市場が問うているのはより短期的な話だ。「最近、何を出荷したのか?」
詳細はMiniMax raises $2bn as its CEO forgoes pay until AGIを参照していただきたい。