7月5日、Windows Latestが「Microsoft 365 just got a price hike over continuous innovation, but Copilot is the AI tax on businesses」と題した記事を公開した。この記事では、Microsoft 365が2026年7月1日より値上げされ、その実態がCopilot関連機能の強制バンドルによる「AIタックス」であることを詳しく解説している。
最大43%の値上げ、そしてCopilotは「AIタックス」
2026年7月1日、Microsoftは企業向けMicrosoft 365の新価格体系を正式に施行した。価格改定自体は2025年12月に予告されていたが、改定幅はプランによって大きく異なり、一部では43%もの値上げとなっている。
Microsoftは「継続的なイノベーションを反映したパッケージ・価格更新」と説明しているが、値上げ後の価格表を見ると、すべての新価格帯に「with Copilot」の文字が添えられており、実質的にCopilotが全プランに組み込まれた形だ。望むと望まざるとにかかわらず、企業はCopilotのコストを負担させられる構造になっている。
価格変更の詳細
プラン別の改定内容は以下の通りだ。
ビジネス向け
- Microsoft 365 Business Basic:$6 → $7(**+16%**)
- Microsoft 365 Business Standard:$12.50 → $14(**+12%**)
- Microsoft 365 Business Premium:据え置き($22)
エンタープライズ向け
- Office 365 E1:据え置き($10)
- Office 365 E3:$23 → $26(**+13%**)
- Office 365 E5:$38 → $41(**+8%**)
- Microsoft 365 E3:$36 → $39(**+8%**)
- Microsoft 365 E5:$57 → $60(**+5%**)
最も打撃を受けるのは、いわゆるフロントラインワーカー向けプラン(製造・小売・医療現場などの現場従業員向け)だ。F1は$2.25 → $3(**+33%)、F3は$8 → $10(+25%**)となっている。元記事ではさらにTeams非同梱版のF1が最大の値上げ率になると言及されているが、具体的な+43%という数字はプランの組み合わせ条件によるものであるため、自社環境への適用についてはMicrosoftのライセンスページで個別に確認することを推奨する。
スタンドアロンのアドオンも例外ではなく、Windows Enterpriseのデバイス単位ライセンスは$5.85 → $7.63(**+31%)、Microsoft 365 Appsのデバイス単位は$36 → $42(+17%**)となっている。
なお、Microsoft 365 PersonalおよびEducationの価格変更はない。
Microsoftが「対価」として挙げる新機能
値上げの理由として、Microsoftはいくつかの機能追加をアピールしている。
- Office 365 E3 / Microsoft 365 E3:Microsoft Defender for Office 365 Plan 1を追加統合(従来は有償アドオン)
- E1・Business Basic・Business Standard:Safe LinksによるURLクリック時点スキャン保護を統合。メール受信時ではなくリンクのクリック瞬間に検査が走るため、メール配信後に悪性化したURLも検出できる仕組みだ
- Microsoft 365 E3・E5:Intune Remote Help、Intune Advanced Analytics、Intune Plan 2を統合
- Microsoft 365 E5:Intune Endpoint Privilege Management、Microsoft Cloud PKI、Enterprise Application Managementに加え、Microsoft Security Copilotを統合(1,000ライセンスごとに400 Security Compute Units/月、上限10,000 SCU)
- Business Basic・Standard:メールボックスストレージを50GB追加
- 全対象プラン:Copilot Chatの強化機能(受信トレイ・カレンダー連携、Word・Excel・PowerPointエージェントへのアクセス)
最後の「Copilot Chatの強化機能」は、単なるチャットUIの改善にとどまらない点に注目したい。受信トレイやカレンダーとの連携は、メール対応や会議準備をCopilotが補助する形で日常業務に直接食い込む機能であり、Word・Excel・PowerPointエージェントはドキュメント生成・データ分析・スライド作成を自然言語で指示できる仕組みだ。Microsoftとしては、これらを「使わない選択肢のないAI基盤」として全ユーザーに展開することで、Copilot活用の裾野を強制的に広げる狙いがあると見られる。
Windows Latestの記者は「価格改定の実態はAI改善のためのものだと確信している」と率直に述べている。
移行スケジュールと例外
パッケージ変更は2026年6月から開始し、8月1日までに完了予定で、30日前にMessage Centerで通知が届く。7月1日より前に更新済みの場合は、次回更新まで旧価格が維持され、新機能はすべて利用可能だ。
政府機関向け(GCC・GCC High・DoD)は商用と同率の値上げとなるが、10%超の場合は連邦規則に従い数年かけて段階的に適用される。非営利団体は既存の商用価格から60〜75%の割引が維持されるため、値上げの影響は商用と同じ比率で受ける。
今回の改定はCopilotを積極活用している企業にとっては従来の有償アドオンが実質コスト減となるケースもあり得るが、AIツールの導入に慎重な企業や現場系ワーカーを多く抱える組織にとっては、使わない機能のコストを丸ごと押し付けられる構図だ。「継続的イノベーション」という説明と、現場の体感コスト増の間にある溝が、IT予算管理担当者からの批判の核心にある。
詳細な価格表と公式FAQはMicrosoftのライセンスページで確認できる。
詳細はMicrosoft 365 just got a price hike over continuous innovation, but Copilot is the AI tax on businessesを参照していただきたい。