7月5日、Fox Newsが「OpenAI's Sam Altman wants to negotiate a 5% stake in company for US if competitors agree to key provision」と題した記事を公開した。OpenAI CEOのSam Altmanが自社株式の5%を米国政府に提供する交渉を検討しているというニュースだが、最大の読みどころはその「前提条件」にある。Meta・Google・Anthropicといった競合他社が同じ条件に合意しない限り、OpenAIも応じないというものだ。自社の公的所有化を「業界全体でなければ受け入れない」と突きつけるこの逆説的な構図が、交渉の核心をなしている。
「5%拠出」の条件:競合も同じテーブルに着くこと
Financial Timesの報道によれば、AltmanはトランプAltman大統領、商務長官Howard Lutnick、財務長官Scott Bessentとすでに面談し、OpenAIの一部を公的所有とする方向で協議を行った。
ただし、Altmanが提示する条件には重要な前提がある。Meta、Google、Anthropicといった競合AI企業も同様に自社株式の5%を公的に拠出することだ。OpenAI単独での条件受け入れは拒否する構えで、業界横断的な枠組みでなければ成立しない。
Altmanはまた、バーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモント州)とも会談している。サンダース議員は最近、主要AI企業の株式を**最大50%**まで公的所有とする立法案を提案しており、Altmanの5%提案はその対案として位置づけられる側面もある。OpenAI単独が先行して公有化に応じれば競合との非対称が生まれるという懸念が、「全社同時」という条件設定の背景にあるとみられる。
背景:トランプ政権によるAI企業への「株式取得」という流れ
この動きを理解する上で見落とせないのが、トランプ政権が進めてきた企業株式の取得という文脈だ。
- 2025年:半導体大手Intelの株式**10%**を取得
- それ以前:レアアース素材企業**MP Materials(MPマテリアルズ)の株式15%**を取得
- その後:US Steelや複数の量子コンピューティング企業にも出資
Intelのケースは象徴的だ。トランプはかつてIntelとそのCEOを公然と批判していたが、米国が出資してからは関係が円滑になったとFTは指摘している。Altmanが同様の構図を狙っていることは記事からも読み取れる。政府が株主になることで、規制や政策立案の局面で「同じ船に乗る」関係が生まれるという計算だ。
OpenAIのIPO前の「政治的保険」という側面
報道によれば、AltmanとAnthropicはいずれも近くIPO(新規株式公開)を計画している。AI産業が急成長するこの時期に政府との関係を固めることは、今後の規制形成に対して有利な立場を確保することを意味する。
AltmanがTrump政権に接近する動機として、記事はAnthropicの先例も挙げている。Anthropicはトランプ政権と一時的に関係が冷え込み、**国防総省のサプライチェーンリスクブラックリストに掲載される**事態となった。その後ホワイトハウスとの関係を修復してリストから削除されたが、Altmanはそうした不安定な経緯を最初から回避し、政権内での信頼を早期に固めたい意向とみられる。
「AI利益の社会的分配」という論点
Altmanの発言として報道されているのは、「AIの急成長による恩恵を広くアメリカ国民に届けるには、公的な部分的所有が最善の方法だ」という考え方だ。
サンダース議員の50%公有化案と比べれば5%は小さい数字だが、時価総額数千億ドル規模の企業の5%は単純計算でも巨額になる。現時点でOpenAIの企業価値は3,000億ドル超とも報じられており、5%は約150億ドル相当に上る。ただし、これはあくまで現在の評価額に基づく試算であり、交渉の行方や将来の企業価値によって変動する点には留意が必要だ。
また、「競合他社も同じ条件に応じるべき」という枠組みは、業界標準として公的所有化を制度化する試みとも読める。1社だけが公有化に応じれば規制上の非対称が生まれるという懸念を逆手に取り、逆に業界全体を巻き込もうとする戦略的な側面もある。
OpenAIとホワイトハウスのコメントは未回答
Fox News Digitalはこの件についてOpenAIとホワイトハウスへのコメントを求めたが、記事執筆時点では回答は得られていない。交渉はあくまで検討・協議の段階であり、合意や正式決定には至っていないことも付記しておく。
詳細はOpenAI's Sam Altman wants to negotiate a 5% stake in company for US if competitors agree to key provisionを参照していただきたい。