7月3日、The Decoderが「Chinese AI video maker Kling raises $2 billion as it gears up for Hong Kong IPO」と題した記事を公開した。中国のAI動画生成サービス「Kling」が約20億ドルの資金調達を完了し、企業評価額180億ドル(約1.8兆円)に達した。収益化はまだ初期段階にあるにもかかわらず、この水準の評価が付いた背景には、Kling自体の技術的実力と、中国AI企業による香港上場ラッシュという構造的な流れがある。
Klingとは何か — 快手発のAI動画生成サービス
Klingを運営するのは、中国の短動画プラットフォーム大手・快手(Kuaishou)だ。快手はTikTokを展開するByteDanceの最大のライバルとして知られ、中国国内で数億人規模のユーザーを抱える。そのKlingは2024年に公開されたAI動画生成サービスで、テキストや画像から高品質な動画クリップを生成できる点が特徴だ。
直近では**Kling 3.0**を発表しており、実用的なクリエイティブ素材としての生成精度を一段と高めている。人物の動きの自然さ、照明表現の精度、カメラワークの制御性などで評価が高く、映像クリエイターやマーケター向けの実用ツールとして急速に普及しつつある。こうした技術的な完成度の高さが、収益化前段階での高額評価を支える根拠のひとつとなっている。
評価額180億ドル、最大30億ドル規模に拡大の可能性
Wall Street Journalの報道によると、今回の資金調達ラウンドで138.2億人民元(約20.4億ドル)を調達し、Klingの企業評価額は180億ドルに達した。
出資に参加した主な投資家はCPE、国方投資(Guofang Investment)、BlueFive、テンセント(Tencent)、中信証券(Citic Securities)。追加参加する投資家次第では、調達総額は最大30億ドルまで拡大する見通しで、その場合、快手のKling持ち分は68.33%まで希薄化する。
香港IPOへのスピンオフ計画
事情に詳しい関係者によれば、快手は早ければ今年5月の時点でKlingを分社化し、香港証券取引所への上場を検討していたとされる。Klingは快手にとって事業の中核と位置づけられているものの、収益化はまだ初期段階にある。
このIPO計画は、中国AIスタートアップ勢による香港上場の波と重なる。MiniMaxやZhipu AIがすでに上場しており、これらの企業の一部はテンセントやアリババといった同じ戦略的投資家の支援を受けている。快手がKlingを切り出して独立上場させる狙いは、資本市場からの評価を直接受けながら開発・拡張を加速させることにあるとみられる。
動画AI市場での競合構図
AI動画生成市場は現在、複数のプレイヤーが激しく競い合っている。Klingが直接競合するのは以下のツールだ。
- Google Veo 3.1 ― 映像品質とリアルなテクスチャを強化した最新モデル
- Runway Gen-4.5 ― テキストtoビデオのベンチマークでGoogleやOpenAIを上回ったとされるモデル
- ByteDance Seedance ― 30秒の壁を突破したとされる、同じ中国勢のライバル
群雄割拠の状況の中で、Klingは技術力と資本力の両面を整えつつある段階にある。
詳細はChinese AI video maker Kling raises $2 billion as it gears up for Hong Kong IPOを参照していただきたい。