北海道出身。新しい技術や近代的なものへの憧れから、自然とエンジニアの道へ。新卒で入った開発会社、その後のSES企業で、TypeScriptやReact Nativeを中心にWeb・モバイル開発に約4年従事してきた、Yさん(28)。
そんなYさんが2026年、SESを離れ、AIを積極的に活用する開発支援会社へ転職した。きっかけは、「AIがコードを書く時代に、エンジニアの価値はどこにあるのか」という問い。当初はフリーランスを考えていたが、エージェントとの対話を経て、正社員という道に確信を持った。なぜいま、この選択をしたのか。AI時代のエンジニア像、フリーランスと正社員の分かれ道、そして信頼できるパートナーとの二人三脚を伺った。
新卒の "ギルドのような会社"。理想の原点と、最初の転職

Q. もともと、エンジニアを志して進んでこられたんですか?
そうですね。北海道の出身なのですが、昔から都会への憧れというか、新しい技術や近代的なものに触れたいという気持ちが強くありました。パソコンも大好きでしたので、エンジニアになることは、自分の中では自然な選択だったと思います。
Q. 新卒で入られた1社目の印象は?
実は、1社目がとても良かったんです。今回の転職の決め手も、「1社目に似ているから」という理由で選んだほどでして。組織がピラミッド型ではなく、ゲームの "ギルド" のような形になっている会社だったんです。性善説でうまく回っていて、いい意味で日本らしくない、現代離れした雰囲気が、とても良かったですね。
ただ、グループ会社に統合されてから、ルールや決まりが少しずつ複雑になっていきまして。さらに、私が配属されたのが、ローコードのCRM(セールスフォースのようなツール)の案件だったんです。JavaやTypeScriptを学んで「これから開発するぞ」というときに、そちらへ移ることになってしまって。ローコードは、20代のうちの経験としては少しもったいないと感じ、転職を決めました。モダンな開発がしたかったんです。
SESで感じた「フリーランスと変わらない」
Q. 2社目はSES企業に入られたんですね。
はい。当時はリモートで働きたいという思いもあり、それを受け入れてくださる会社に入りました。経験を積みたかったのですが、結果的には、最初に入った案件の言語(React Native)に関連する案件ばかりで。本当はバックエンドやフロントエンドを幅広く経験してみたかったのですが、なかなかその機会がありませんでした。
それに、営業とのやり取りも、会社ではなく自分で行っていたんです。そうしますと、フリーランスとして営業の方とやり取りするのと、あまり変わらないように感じてしまいまして。SESは業務の構造上、どうしても多重下請けの下流になりがちですので、上流工程を経験したいという思いも、次第に強くなっていきました。
Q. 直近のプロジェクトは、かなりハードだったと伺いました。
そうなんです。昨年の12月に入ったプロジェクトが、蓋を開けてみるとかなりハードで。月の残業が100時間ほどになってしまい、起きてから寝るまで仕事、というような状態でした。生活がなくなってしまい、精神的にも疲れてしまって。それで「環境を変える、いい機会だ」と思い切り、今年の2月末で退職いたしました。
「AIがコードを書くなら、人間は何で価値を出すのか」
Q. 転職の根っこには、AIへの危機感があったそうですね。
昨年の7月くらいに、はっきりと感じた瞬間がありました。Androidアプリのプロトタイプを作る案件で、AI(Claude Code)が出してくるものをそのままお見せしたところ、お客様が「いいですね、こういう感じで」と納得されてしまったんです。「これでは、人が自分で手を動かしてアプリを作る意味がないな」と感じました。
私はもともと、コードを動かすこと自体が楽しいタイプでした。ですが、そこがAIに取って代わられるのであれば、人間的なところで付加価値を高めなければならない。AIを使って上流の工程を回す側になり、お客様との打ち合わせができるエンジニア──どちらかというと、コンサルタントに近い領域にコミットしていく。コーディング以外の分野で価値を出すエンジニアが、これから必要になる。そう確信したんです。
フリーランスか、正社員か。エージェントの "本音"
Q. 当初は、フリーランスを考えていたと伺いました。
はい。単純に、会社のマージンが引かれない分、フリーランスの方が月の手取りが上がるな、と。15万円ほどアップしそうでしたので、目先の収入で、一旦フリーランスかな、と考えていました。最初は、それで仕事の幅も広げていけると思っていたんです。
Q. それが、正社員に切り替わったのですね。
ITプロパートナーズの担当の方に相談したことが、大きかったです。「AIを使って人間的な付加価値を高めたいのであれば、フリーランスはおすすめできません。今の言語の延長線上にしかなりませんし、これからバックエンドやインフラ、AWSへと広げてフルスタックにやっていくのであれば、絶対に正社員転職の方がいい」と、はっきりとおっしゃっていただいて。
これは、フリーランスの案件を紹介する立場の会社が、普通はおっしゃらないことだと思うんです。だからこそ、「これは自社の利益ではなく、本当のことを言ってくださっているな」と感じました。市場のこともとてもよく理解されていて、私というクライアントの目指すところを、本気で思い描いて動いてくださっている。それで、正社員転職へと舵を切りました。
他社は使わず、ITプロパートナーズ一本に絞った理由
Q. 他のエージェントは、使われなかったんですか?
使いませんでした。理由は、結局のところ人との相性だと思っていまして。最初にお話しした時点で、まったく違和感がなかったんです。それに、最初にいただいた正社員転職のご提案が、とても腑に落ちましたので。これなら一本で行ける、と思いました。正直に申し上げると、少しめんどくさがりな部分もあるのですが(笑)。
ブレなかった2つの軸 ──「AIを使い倒す」と「フルスタック」

Q. 転職活動の軸は、どのようなものでしたか?
2つありました。1つは、AIを積極的に活用する、先進的な会社であること。現場によっては「AIで作るコードは良くない」という雰囲気の会社もありますので、そういったところは、こちらからふるいにかけたいと思っていました。「AIを使い倒してコーディングしていこう」「最新の技術を使うべきだ」という、前向きな会社に入りたかったんです。
もう1つは、先ほどお話しした、ITコンサルのような働き方をエンジニアに取り入れた、フルスタックな領域で動けること。この2つの軸は、選考を進める中でも、最後までブレることはありませんでした。昨年からずっと思っていたことですので。
4ページの面接対策と、付箋に書いた3つの言葉
Q. 面接対策も、かなり手厚かったと伺いました。
そうなんです。個別の対策ドキュメントを、4ページほど作っていただきまして。それをすべて頭に入れて臨んだところ、もう大丈夫でした。それから、3つのアドバイスを付箋に書いて、面接のときにモニターに貼っていたんです。「成果を強調しすぎない」「レガシーな環境や理不尽な環境を否定しない」「短期離職の懸念を払拭する」。この3つです。
しかも、「こうしなさい」とすべてを指示するのではなく、「これを実現できれば大丈夫ですので、頑張ってください」という渡し方で。できる・できないではなく、「もう、やるしかない」と思わせてくださった。そこがとても良かったです。私が考えているレールを一緒に歩んでくださって、燃料を積んでくださって、私はハンドルを握っているだけ、というような感覚でした。
「経験の浅さ」を指摘されたことも、すべてが後押しに
Q. 選考の中で、印象に残っていることはありますか?
ポジティブな面では、内定先と、軸が100%マッチしたことですね。一方で、他社の面接では、「年数の割に、少し経験が薄いね」とご指摘をいただくこともありました。ですが、それは自分でも感じていた部分でして。経歴づくりの中で抱いていた違和感が、そのまま現場とのミスマッチとして表れるのだな、と。だからこそ、フリーランスではなく正社員に転職できてよかった、という後押しになったんです。
3〜4社と面接を重ね、いろいろな方とお会いしていく中で、「この方々と働きたいな」という気持ちも強くなっていきました。第2志望は最終で落ちてしまったのですが、それも含めて、今回の転職は、やって無駄だったことが1つもありませんでした。すべてが、自分の軸を太くする後押しになったと感じています。
決め手は「100%のマッチ」。ゲームの雑談で意気投合
Q. 最終的に、いまの開発支援会社に決められた理由は?
軸が100%マッチしたことが、一番です。面接で技術責任者の方と、15分ほどゲームの雑談で盛り上がってしまいまして(笑)。趣味の合う方がいらっしゃって、とても和やかにお話しでき、「あ、この会社はいいぞ、面白いぞ」と感じました。仕事は1日の多くを占めますので、やはり面白い会社、尖っていて面白い会社に入りたかったんです。そこが、とてもマッチしました。
それに、フルリモートで、北海道の地元に帰っても、どこで仕事をしても構わない、という柔軟さもありまして。リピーターのお客様が多く、腰を据えて深く関われるのも魅力でした。「AI時代には、こういう人材が必要になる」というお話も面接で出て、熱量も合っておりました。ですから、ここにフルコミットしようと思えたんです。
Q. 年収は、重視されなかったんですか?
そうですね。高望みはしませんでした。仕事は、1日の3分の1以上、起きている時間の多くを占めますよね。苦しんで多くのお金を得るよりも、今くらいの基準でいいので、楽しいことをしたい、という思いがありまして。仕事が楽しければ、その時間がまるごと、良い時間になる。それをご提案いただき、「絶対にやれそうだ」という確信もありましたので、いまの会社を選びました。
転職活動を振り返って ── 10点満点中9点
Q. 今回の転職活動を、10点満点で言うと?
9点ですね。最初の会社に似た会社を探していて、結果的にそれが見つかった。そんなことはありえないと思っておりましたので、そこはもう10点なんです。マイナス1点は、第2志望の最終で落ちてしまったこと。自分が悔しくて。そこが受かっていれば、10点でした(笑)。
Q. エージェントの支援は、振り返っていかがでしたか?
本当に感謝しています。一番は、「あなたのやりたいことと、歩いている道が違いますよ」と教えてくださったこと。普通であれば、フリーランスも正社員も両方ご紹介して、いい方を選びましょう、となると思うんです。ですが、きっぱりと言い切ってくださった。経験から来る、発言への揺らぎのなさ、というのでしょうか。「あなたはこうですから、こうした方が絶対にいい。そのためにこうこうこうで」というお話が、ノータイムで出てくる。だからこそ、信用できたんです。確固たる根拠で意思決定を後押ししてくださったことに、とても感謝しています。
最後に ── AI時代に、キャリアで悩むエンジニアへ
Q. AIの進化に不安を感じている、かつてのご自身のようなエンジニアへ、メッセージをお願いします。
もしAIの進化に不安を感じていらっしゃるなら、それは、コーディング以外の付加価値に目を向ける、いい転機だと思います。人との繋がりや、上流から関わる力、コンサルのような視点。そこに、これからのエンジニアの価値があると、私は思っています。
それから、自分一人で抱え込まずに、市場をよくご存じの方に相談して、軸を一緒に作ること。私は、信頼できる人の言葉を一度信じてみたことで、納得して進めることができました。あとは、年収だけではなく、「1日の大半を占める仕事が、楽しいかどうか」で選んでみてほしいです。仕事が楽しければ、毎日のほとんどの時間が、良い時間になりますから。