6月29日、Cybersecurity Diveが「OpenAI voluntarily limits new AI models at government's request」と題した記事を公開した。OpenAIがトランプ政権の要請を受け、新モデル群の公開を自主的に制限したというこの件で核心となるのは、法的拘束力のない任意の要請に、なぜOpenAIが従ったのかという点だ。同時期にAnthropicが法的強制による輸出規制を受けていたことと並べると、政権によるAI統制の構図がより鮮明に浮かび上がる。
法的拘束力のない要請に従ったOpenAI
OpenAIは6月27日(金)、新モデル群(元記事ではモデル名・バージョン番号について言及されているが、GPT-5.6という呼称や個別のサブモデル名については元記事原文の表記に依拠している)を発表し、連邦政府機関向けにプレビューを実施した。その際、政府側から「一般公開しないよう」求められ、OpenAIはこれに応じた。公開形式は「政府に参加者を共有済みの、少数の信頼できるパートナー向けの限定プレビュー」にとどめるとされた。
OpenAI CEOのSam Altmanは同日、社員に向けて「このプレビュー期間中、トランプ政権が顧客ごとにアクセスを承認する」と説明したと、The Informationが報じている。
今回の件で最も注目すべき構図は、OpenAIが法的拘束力のある命令ではなく、政府からの任意の要請に応じた点だ。なぜOpenAIが要請に応じたかについて、同社はコメント要求に応じていない。
ただしOpenAIは、この状態を永続させるつもりはないと明言している。同社のブログポストでは以下のように述べている。
「この種の政府アクセスプロセスが長期的なデフォルトになるべきとは考えていない。これは、それを必要としているユーザー、開発者、企業、サイバーディフェンダー、そしてグローバルパートナーから最良のツールを遠ざけることになる。」
そのうえで「数週間以内」に一般公開する方針を維持しており、今回の対応は「より広範な公開への最善の道」だと判断したとしている。
Anthropicへの強制とOpenAIへの要請——対応の温度差
背景として、Anthropicへの対応との対比が重要だ。
トランプ政権は今年4月、Anthropicの新モデルに対し商務省の輸出規制を発動。Anthropicは外国籍ユーザーほぼ全員のアクセスを遮断せざるを得なくなった。こちらは法的拘束力のある「輸出規制」という形での介入だった。
※編集部注:元記事ではAnthropicのモデル名として固有名詞が記載されているが、そのカタカナ読みは元記事に存在しないため、本記事では省略している。
トランプ政権は2025年を通じて「AIへの政府規制は中国を利する」と主張してきたが、Anthropicの新モデルデビューを機に方針を急転換し、より制限的なアプローチへとシフトした。
一方OpenAIのケースは、同じ政権による介入でありながら、法的強制ではなく任意の要請という形をとっている。この非対称な扱いが何を意味するかは、現時点では明らかにされていない。
なお、OpenAIが自主制限を発表したのと同じ日に、AnthropicはモデルをAIを「一部の信頼できるパートナー」に再提供できるようになったと発表した。
トランプのAIセキュリティ大統領令との関係
OpenAIは今回の対応が、トランプ大統領が最近署名したAIセキュリティに関する大統領令に基づくモデルレビュープロセスへの協力の一環だとも説明している。同令はAIモデルのリリース前に政府機関がレビューを行う枠組みを求めており、OpenAIはそのプロセスに沿って動いている形だ。
※編集部注:この大統領令の正式名称および署名日については、元記事に詳細な記載がないため、本記事では特定を避けている。
AI開発と政府規制の緊張関係は、今後のモデルリリースの慣行にも影響を与えそうだ。OpenAIが「数週間以内」とした一般公開がどのような形で実現するかが、当面の注目点となる。
詳細はOpenAI voluntarily limits new AI models at government's requestを参照していただきたい。