6月30日、Dataconomyが「Anthropic Claude launches on Microsoft Azure Foundry」と題した記事を公開した。AnthropicのClaudeモデルがMicrosoft Azure Foundry上でNvidiaハードウェアを用いて初めて提供開始されたことを報じており、巨額の資本提携を伴う今回の展開は、クラウドAIインフラにおける競争構図に新たな局面をもたらすものとして注目される。
ClaudeがAzureに登場——Nvidia GB300 Blackwell Ultra上で稼働
AnthropicのClaudeモデル群が、Microsoft Azure Foundry上で利用可能になった。注目すべきは、これがNvidiaハードウェア上への初のデプロイであるという点だ。
稼働基盤として採用されたのは、Nvidia GB300 NVL72システムとQuantum-X800 InfiniBandネットワークの組み合わせだ。GB300 NVL72はNvidiaのBlackwell Ultraアーキテクチャに基づく大規模推論向けサーバーシステムで、72基のGPUをラックスケールで密結合した構成を特徴とする。Quantum-X800 InfiniBandはNvidiaが提供する超高速GPUインターコネクト技術であり、大規模クラスター内のGPU間通信を低遅延・高帯域で処理する役割を担う(NvidiaのQuantum InfiniBand公式情報)。この組み合わせにより、大規模並列推論に最適化された構成が実現されており、エンタープライズ向けAIワークロードにおける推論性能の向上とTCO(総所有コスト)削減を狙った設計となっている。
このインフラ自体は2025年10月にOpenAIの推論ワークロード向けとして構築されたもので、4,600基以上のNvidia GB300 Blackwell Ultra GPUを搭載した大規模Azureクラスターだ。今回Claudeがこのクラスターに乗ったことで、AzureはOpenAIに続く2つ目の主要AIモデルファミリーを抱えるマルチモデルプラットフォームへと移行した。
背景にある3社の資本関係
このデプロイは、技術的な連携だけでなく、大規模な資本関係を背景としている。
2025年11月に締結された戦略的パートナーシップにおいて、AnthropicはAzureコンピューティング容量を300億ドル分購入することを約束した。なお、本記事タイトルで「3,000億円規模」と円換算した表記は避け、元記事の数字をドル建てのまま扱う。為替レートは変動するため、正確な円換算については参照時点のレートで確認されたい。
出資関係については、元記事ではNvidiaおよびMicrosoftによるAnthropicへの出資が言及されているが、各社の具体的な出資額については元記事の記述を直接確認されたい。
当初の計画では、AnthropicのコンピューティングコミットメントはNvidiaのGrace BlackwellおよびVera Rubinシステムによるギガワット(1GW)規模の容量に達する見込みとされていた。このパートナーシップはすでにGitHub CopilotやMicrosoft 365 CopilotといったMicrosoftのCopilotファミリーへのClaude統合という形でも実を結んでいる。
今回のAzure Foundryでの提供開始は、NvidiaとMicrosoftが6月に「ClaudeがAzureのNvidia GB300システム上でネイティブ動作する」と予告していた内容の実現にあたる。
エンタープライズ向けエージェントAIへの対応
今回のデプロイの主要なユースケースとして挙げられているのは、自律型AIエージェントおよびドメイン特化型AIエージェントの構築だ。エンタープライズ顧客がAzure上でClaudeをベースとしたエージェントアプリケーションを開発・運用できる環境が整備された形となる。
アジェンティックAI(Agentic AI)とは、単発の質疑応答にとどまらず、複数ステップにわたるタスクを自律的に計画・実行するAIシステムの総称だ。外部ツールやAPIの呼び出し、条件分岐を伴うワークフローの自動処理といった能力を持ち、近年エンタープライズ分野での採用が急速に進んでいる領域でもある。AnthropicはすでにClaudeのエージェント利用を推進するためのModel Context Protocol(MCP)を公開しており、Azure上での提供によってエンタープライズ環境でのMCP対応エージェント構築がより現実的な選択肢となる。
GB300 NVL72の高い並列処理能力と低遅延インターコネクトは、複数エージェントが並列で動作するマルチエージェントシステムの推論負荷にも適しており、今回のインフラ選択はエージェントAI用途を強く意識したものと読める。
詳細はAnthropic Claude launches on Microsoft Azure Foundryを参照していただきたい。