7月1日、The Next Webが「AI shopping beat search on Prime Day, rattling Amazon」と題した記事を公開した。この記事では、プライムデーにおいてAIチャットボット経由の流入が初めて検索・メール・SNSを上回る購買転換率を記録し、Amazonのディスカバリー戦略に根本的な揺らぎが生じていることについて詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
「最悪のチャネル」が「最良のチャネル」に、わずか1年で逆転
Adobe Analyticsによると、今年の4日間にわたるプライムデーイベント期間中、米国の小売サイト全体での消費額は総計264億ドルと過去最高を記録した。しかし注目すべき数字はその合計額ではない。
AIアシスタント経由でサイトに訪れたユーザーは、検索・メール・SNS経由のユーザーと比較して約40%高い購買転換率(コンバージョンレート)を示した。GeekWireおよびForbesが報じた。1年前、AIチャットボット経由のトラフィックは全チャネルの中で最もコンバージョン率が低いチャネルだった。この逆転が12ヶ月以内に起きた、というのが本質だ。
行動指標も裏付ける。AI経由の訪問者は:
- サイト滞在時間が49.9%長い
- 閲覧ページ数が20.5%多い
- カートへの追加率が従来チャネル比33%高い
これは1回のセールに限った話ではない。Adobeのデータでは、今年第1四半期の米小売サイトへのAI経由トラフィックが前年比393%増、3月時点でのコンバージョン率は非AI経由比で約42%高い水準にある。2025年初頭には逆に約38%低かった。トレンドラインが明確に交差した。
Amazonのビジネスモデルの急所を突く構造変化
Amazonのビジネスモデルの根幹は「商品探しの起点」であることだ。Amazonの広告事業——現在、同社の中でも最も利益率の高い部門の一つ——はその起点にいることで成立している。
AIアシスタント(ChatGPT、Gemini、Perplexityなど)が推薦を担い、ユーザーが小売サイトには「決済のためだけ」に訪れるようになれば、ディスカバリー(商品発見)レイヤーがAI企業側に移動する。マーケットプレイスではなく、アシスタントが「店の顔」になる。
Amazonが手をこまねいているわけではない。独自のAlexa+アシスタントやショッピングボット「Rufus」を推進し、背後のAIモデルのコスト見直しも進めている。ただし、Adobeのデータが示すのは、汎用チャットボットがすでに「購買ファネルの上流」を担い始めており、Amazonが登場する前に意思決定が行われているケースが増えているという現実だ。
「検索」という玄関が閉まり始めている
過去20年間、商品探しの旅はGoogleから始まっていた。同様の圧力が今、検索に対するGoogleの優位性をも崩しつつある。マーケターの間では「GEO(Generative Engine Optimization)」という概念が広まりつつあり、AI検索は新たなSEOだというのがその要点だ。
小売事業者にとっての実務的な含意は明確だ。チャットボットは自分が読めるものしか推薦できない。Adobeは、大半の小売サイトはまだ機械可読性が低く、来ているトラフィックを受け取れる準備が整っていないと指摘する。
さらに大きな地殻変動もある。OpenAIはすでに広告事業への参入を表明している。商品の推薦から決済までを担えるチャットボットは、そのままマーケットプレイスになりうる。
データの限界と留意点
公平のために付記すると、この分析には二つの留意点がある。
一つはデータソースの問題だ。数値の出典はAdobeの単一ベンダーであり、同社はこのトレンドから利益を得るAI分析ツールも販売している。独立した第三者の検証が望ましい。
もう一つはスケールだ。AI経由トラフィックは急増しているとはいえ、小売全体に占めるシェアはまだ小さい。コンバージョン率が最も高いチャネルであっても、総量が小さければ影響は限定的であり、4日間のセールが年間トレンドを代表するとも言い切れない。
「誰が顧客を所有するか」という問い
何年もの間、小売とマーケティングの問いは「Googleでどう上位表示するか」「Amazonのバイボックスをどう取るか」だった。チャットボットが推薦を担う世界では、問いはこう変わる——アシスタントが推薦するとき、顧客は誰のものか。
詳細はAI shopping beat search on Prime Day, rattling Amazonを参照していただきたい。