6月25日、Windows Latestが「Microsoft admits 8GB RAM is fine for Windows 11, after years of pushing 16GB as the baseline」と題した記事を公開した。この記事では、Microsoftが長年「16GB以上が必須」と主張してきた方針を事実上撤回し、8GB RAMで十分と認め始めた経緯について詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
「16GB必須」から「8GBで十分」へ、わずか数ヶ月で方針転換
MicrosoftがSurfaceの購入ガイドを更新し、8GB RAMを「ブラウジング、ストリーミング、学校の課題、生産性アプリといった日常的な用途に最適」と説明し始めた。
問題はその文脈だ。Microsoftはほんの数ヶ月前まで、まったく逆のことを言っていた。
- 2026年2月:Microsoftは「本格的なPCゲーマーには32GBが理想的」と発表し、Copilot+ PCを推薦
- 2026年5月:別のブログ記事で32GBを「ゲーム用途の"no worries"アップグレード」と表現
- 反発が殺到し、Microsoftはそのブログ記事を静かに削除
そして同じ5月、Microsoftは1,299ドルのビジネス向けSurface Laptopを8GB RAM構成で発売。さらに消費者向けのSurface Laptop 13とSurface Pro 12も8GB構成でスタートするラインナップとなった。
Surfaceストアの購入ガイドは8GBを「日常タスクに適切」と案内しながら、同ストアのAIアシスタントに「2026年に8GBは十分か?」と質問すると「将来性を考えれば16GBが安全な選択」とこっそり誘導する。自社のチャットボットが自社製品ページの案内と矛盾した回答をしている状態だ。
MicrosoftはRAM価格高騰の当事者でもある
この方針転換が皮肉なのは、RAMの状況を悪化させた一因がMicrosoft自身にあるためだ。
AIインフラへの巨大投資とデータセンター向けの高帯域幅メモリ(HBM)の大量調達が、コンシューマー向けRAMの供給を圧迫した。RAM価格が上昇する一方で、Windows 11はWebView2コンポーネントの多用で肥大化し、WhatsApp・Discord・Teamsといった主要アプリのメモリ消費量も増加している。供給サイドと需要サイドの両方からユーザーが締め付けられた格好だ。
OSの最適化という観点でも差は大きい。Appleはm系チップ向けにmacOSの最適化を毎年着実に進め、同じメモリ量でもパフォーマンスを引き出し続けた。MicrosoftのPrism(ARM向けx86エミュレーション層)はそのギャップを埋めるには至らなかった。
MacBook Neoが引き金を引いた
この混乱の引き金となったのが、Appleが599ドルで投入したMacBook Neoだ。8GB RAMにもかかわらず、価格帯に見合わないパフォーマンスを発揮したこの機種はPC業界に衝撃を与え、ASUS CFOが「Microsoft・Intel・AMDが対抗策を準備している可能性がある」とコメントするほどだった。
Microsoftの対応は、849ドルの旧世代Snapdragon X搭載Surface(8GB RAM)だった。1年前であれば同じハードウェアに16GBが搭載されていてより安く買えた、という事実が記事では指摘されている。
さらに皮肉なことに、Microsoftは同じ時期にSignal65社に依頼してWindows 11ラップトップがMacBook Neoより優れているとする調査レポートを出させ、「AppleのMacBookの弱点は8GBのRAM」と論じさせていた。その舌の根も乾かぬうちに、自社製品を8GB構成で出している。
Copilot+ PCブランドの失速
この方針転換の背景には、Copilot+ PCブランドの不振もある。Microsoftは16GBのメモリ要件とNPU(ニューラルプロセッシングユニット)要件を組み合わせ、新たなハードウェアアップグレードサイクルを作ろうとした。しかし思惑通りには進まなかった。
Surface Laptop Ultraの発表では、MicrosoftはCopilot+ PCブランドをプレスリリースから事実上削除した。元Microsoft副社長が「Microsoftはインターネット・モバイルに続いてAIの波も乗り逃した」と発言するなど、社内外から厳しい評価が出ている。Windows 11では期待に応えられなかったAI機能の削除も進んでいる。
記事の筆者は最後にこう指摘する。「8GBが日常タスクに十分だと言えるのは、OSをそのために最適化した場合に限る。Microsoftはそれをやっていない」。
詳細はMicrosoft admits 8GB RAM is fine for Windows 11, after years of pushing 16GB as the baselineを参照していただきたい。