6月16日、Ed Zaitsevが「Exclusive: OpenAI Losses Increased Nearly 8X in 2025, With Spending Hitting $34 Billion」と題した記事を公開した。監査済み財務書類に基づく独自スクープで、OpenAIの2025年のOpenAI帰属純損失が385億ドルに達したことを明らかにしている。
前年2024年の同損失は50.9億ドルだった。わずか1年で約8倍に膨らんだ計算だ。売上高は37億ドルから130.7億ドルへと約3.5倍に増加したものの、支出の拡大がそれをはるかに上回っている。OpenAIは2025年3月にSoftBank主導の400億ドル調達を完了し評価額3,000億ドルとも報じられたが、その根拠を問い直させる数字が出てきた格好だ。
損失の内訳 — 営業損失209億ドルに加え、組織転換が損失を押し上げ
財務書類が示す2025年の主要数字は以下のとおりだ。
- 売上高: 130.7億ドル
- 売上原価: 75億ドル
- 研究開発費: 191.8億ドル
- 販売・マーケティング費: 57.3億ドル
- 一般管理費: 15.7億ドル
- 総コスト・費用: 340億ドル
- 営業損失: 209.2億ドル
営業損失だけで209億ドルを超えるが、最終的な純損失がさらに大きくなった背景には、OpenAIが2025年に完了した非営利法人から営利法人への組織転換がある。OpenAIはもともと非営利団体として設立されたが、巨額の資金調達ニーズと投資家へのリターン要求に応えるため、Sam Altmanが主導するかたちで段階的な組織転換を推進し、2025年にその転換を完了した。
この転換に伴い、転換可能持分(将来株式に転換される権利)および新株予約権負債の公正価値変動として415.5億ドルの損失が会計上計上された。これは実際の現金流出を伴わない非現金の会計処理であり、組織転換のタイミングで一括計上されたものだ。この影響で純損失は603.5億ドルに達し、ここから非支配持分(子会社の少数株主等に帰属する損失)218億ドル超を除いた結果、OpenAI帰属の純損失として385億ドルが残った。
一方で2025年末時点の総資産は500億ドルをわずかに超え、その約半分は現金として保有している。
Microsoftへの支払いは年間172億ドル
財務書類で特に目を引くのが、Microsoftとの取引規模だ。2025年にOpenAIがMicrosoftに支払った総額は172億ドルに上る。内訳は研究開発費(主にモデルトレーニング用コンピューティング)が105.9億ドル、売上原価(推論用インフラ等)が60.5億ドルなどで、年末時点の未払い残高も36.4億ドルに達している。
逆にOpenAIがMicrosoftから受け取った金額は3.03億ドル、SoftBankから受け取ったのは8.67億ドルにとどまる。OpenAIにとってMicrosoftは収益源である以上に、コンピューティングリソースの巨大な供給者として依存関係が深いことが改めて浮き彫りになった。
AI推論・トレーニングに要するコンピューティングコストはAI業界全体の共通課題だ。GPT-4oや最新モデルの利用が拡大するほどインフラ支出も膨らむ構造であり、OpenAIのコスト圧力は今後も続くとみられる。
「この会社がどう収益性を見出すのか、見当がつかない」
記事を執筆したEd ZaitsevはSubstackベースのニュースレター「Where's Your Ed At」の著者で、テック企業のビジネスモデルや財務に批判的な視点から切り込む論者として知られている。今回の記事では数字の解説に徹しながらも、末尾でこう述べている(以下は記事からの意訳)。
「OpenAIの財務状況は深刻な懸念を呼ぶ。385億ドルの損失は天文学的な数字であり、多くの人が予測していたレベルを大幅に超えている。損失は年を追うごとに劇的な速度で拡大しており、この会社がどのようにして持続可能性や収益性を見出すのか、私には見当がつかない。」
OpenAIはエンタープライズ向けAPI、ChatGPT Plusなどのサブスクリプション、そして近年力を入れるエージェント製品群を収益の柱に据えており、130億ドルを超える売上高は実際に急速に伸びている。しかし340億ドルの支出との差は縮まる気配がなく、スケールするほど赤字も拡大するという構造的問題が今回の数字に如実に表れている。
Zaitsevは「今後1か月以内に、この財務書類に関するより詳細なレポートを公開する予定」としており、続報が注目される。
詳細はExclusive: OpenAI Losses Increased Nearly 8X in 2025, With Spending Hitting $34 Billionを参照していただきたい。