4月5日、DevOpsエンジニアのDJ Haskinが「Writing Lisp is AI Resistant and I'm Sad」と題した記事を公開した。
記事の著者は衝撃的な体験を報告している。Claude(GPT-4クラス)を使ってLispでコーディングしたところ、わずか30分で10〜20ドルを消費してしまったのだ。一方、同じタスクをPythonで行うと、安価なAIモデルでも1〜2日で完成させることができた。
GitHub CopilotやCursor、Claude等のAIコーディング支援ツールが急速に普及する中、「AIが苦手とする言語」の存在が明らかになりつつある。Lispがその代表例だ。
RSSツール開発で発覚した「言語格差」
著者はOpenRouterとGoose CLIツールを組み合わせた開発環境を構築し、日常業務でAIを活用している。今回、RSSリーダー間のフォーマット変換ツールを、好きな言語であるLispで開発しようとした。
しかし、AIにREPL(Read-Eval-Print Loop)の使い方を教える段階で問題が発生した。tmux経由でREPLと対話させても効率が悪く、Claudeでさえ数分で10〜20ドルを消費する。より安価なDeepSeekやQwenでは、さらに成果が出なかった。
対策として、著者はtmux-repl-mcpをPythonで開発した。このツール開発では、コードもテストもAIに書かせ、1〜2日で完成。しかもコストは格安だった。
Lispに戻ると状況は一変する。30分で10ドル消費し、結局手動でsrc/newsboat.lispを書く羽目になった。
AIが苦手とする3つの理由
1. 訓練データの圧倒的な差
PythonやGoのような人気言語は、インターネット上に大量のコードが存在する。AIの訓練データが豊富な言語ほど、実際のトークンあたりコストが下がる時代になった。
2. APIレイテンシーとREPLの相性問題
REPLは人間には優秀なツールだが、APIの高レイテンシー環境では逆効果だ。AIは一度に数百行のコードを書けるため、REPLを使わない言語の方が効率的になる。
3. ツール選択の標準化不足
Lispには多くのツール選択肢があるが、著者が好むOCICLをAIは知らず、毎回QuickLispを提案する。AIは「最も抵抗の少ない道」でコードを生成するため、マイナーなツールは無視される。
「Worse is Better」の新たな現実
著者は地元の歴史的逸話を引用する。19世紀のナパーヴィルでは、泥道の解決策として木製舗装道路が導入されたが、投資家が鉄道建設を選んだため廃れてしまった。
LispがPythonと比べて感じさせる喜びは、泥道と比べた木製道路のようなものだ。しかし鉄道(AI)が登場すると、農民は貨車に荷物を積むだけで済む。これほど簡単なら、なぜ道路を使う必要があるのか?
これはRichard Gabriel氏が提唱した「Worse is Better」の典型例だ。技術的に優れた解決策が、普及度や利便性で劣る解決策に敗れる現象である。
Lispはインターネット時代を数十年間生き抜いてきた。AI時代でも何らかの適応を見せるかもしれない。現在著者はプロジェクトをGoで書き直すことを検討している。AIの時代では「コードは安い—ただし、AIが大量の訓練データを持つ言語に限り」だ。
詳細はWriting Lisp is AI Resistant and I'm Sadを参照していただきたい。