2月10日、Phoronixが「Linux 7.0 Officially Concluding The Rust Experiment」と題した記事を公開した。この記事では、LinuxカーネルにおけるRust言語の導入が「実験」の段階を終え、正式な構成要素として定着したことが、次期バージョン「Linux 7.0」向けのパッチとして正式に提出されたことについて紹介されている。

以下に、その内容を紹介する。
「実験終了」が文書化され、正式なプロセスへ
次期メジャーバージョンとなる「Linux 7.0」のマージウィンドウにおいて、象徴的なパッチが提出された。長らく続いていた「Rust実験」を正式に終結させ、Rustをカーネル開発の永続的な一部として定義し直すドキュメントの更新が行われたのだ。
Rustを「定着(here to stay)」させる方針自体は2025年12月に合意されていたが、今回のパッチ提出により、Linux 7.0という記念碑的なバージョンにおいて、その意思決定が正式なコード(およびドキュメント)として刻まれることになった。
背景:困難を極めた「C言語一強」からの脱却
Rust for Linuxは、メモリ安全性という強力な武器を携えて登場したが、その道程は決して平坦ではなかった。今回の「実験終了」の宣言は、数年にわたるコミュニティ内の激しい議論に終止符を打つものである。
- 技術的なハードル: C言語で書かれた巨大な既存資産と、Rustの厳格な型システムをどう共存させるかという難問。
- コミュニティ内の葛藤: ツールチェーンの複雑化を懸念する声や、一部の主要開発者が離脱しかけるほどの激しい対立も起きた。
こうした数々の衝突を経て、実運用での安定性が証明されたことで、ついに「実験」という但し書きが外れることとなった。
実績が証明したRustの価値
Rustが実験を終えることができたのは、すでに以下の実績が積み上がっているからに他ならない。
- 商用環境での採用: すでに複数のLinuxディストリビューションがRust製のコードをカーネルに含めて出荷している。
- 圧倒的な普及: 数百万台規模のAndroidデバイスにおいて、すでにRustによるカーネル実装が実戦投入されている。
プロジェクトを主導するミゲル・オヘーダは、今回のパッチの中で次のように述べている。
「実験は終わった。つまり、Rustはここに留まり続けるということだ。
これがカーネルコミュニティからの明確な合図となり、企業や団体が開発者のRust習得に時間を割くなど、より積極的な投資が行われることを期待している。
当初は173名だった協力者のリストも、今や書き切れないほど膨大なものになった。これまで支えてくれたすべての人に感謝したい。」
Linux 7.0に向けた技術的改善
今回のプルリクエストには、ドキュメントの更新だけでなく、ビルド最適化(LTO)に関連する改善(__rust_helperアノテーションの導入)なども含まれている。
しかし、最も重要なのは技術的な細部ではない。「Rustを使い続ける」というカーネルコミュニティの長期的なコミットメントが、Linux 7.0という節目に正式に文書化されたこと——それ自体が、Linuxの歴史における大きな転換点なのである。
詳細はLinux 7.0 Officially Concluding The Rust Experimentを参照していただきたい。