なぜ僕らは他者ばかり見てしまうのか
DRANK
「競合他社との差別化は?」 「他社に対する優位性はどこにある?」 起業してから幾度となくこの言葉を投げかけられてきたが、そのたびに何とも言えない居心地の悪さを感じてしまう。「うーん…プロダクトに込めた哲学…かな…」なんて答えては、呆れられることもしばしば。 ビジネスの定石では、常に隣の誰かを見ることが推奨される。あいつよりも速く、安く、高機能に。そうやって「他者」という定規で線を引いて、自分の輪郭を描こうとしてしまう。 だが、他者との対比で描かれた自分の輪郭は、どこか脆い。なぜ僕たちは、こうも他者ばかりを見てしまうのか。 フランスの哲学者ルネ・ジラールは、「欲望は他者の模倣で