11月15日、Manual do Usuárioが「I think nobody wants AI in Firefox, Mozilla」と題した記事を公開した。この記事では、Mozillaが開発を進めているFirefox向けAIアシスタント機能「Window AI」と、それに対するユーザーの強い反発について詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。

Mozillaは、通常モードやプライベートモードに加え、3つ目のブラウジングモードとして「Window AI」を開発中である。この機能は、既存のサイドバー経由で提供されるChatGPTやGemini、Copilotなどの外部AIチャットボットとは異なり、ブラウザ本体により深く統合される予定だ。Mozillaの公式発表によると、ユーザーの明示的な同意(opt-in)が前提となっており、「ユーザーが常にコントロールできる」点を強調している。

Image: Mozilla
Mozillaはすでにウェイトリストを設け、利用希望者を募集しているほか、フォーラム上で「この取り組みの形成に協力してほしい」と呼びかけている。しかし、その呼びかけに応じたユーザーの反応は厳しいものだった。
記事執筆時点でフォーラムに寄せられた52件のコメントすべてが、「このAI機能は不要」「FirefoxにAIを押し付けないでほしい」と否定的な意見で占められており、Mozillaに対して開発の中止を求める声が多数を占めている。執筆者は、この反応がFirefoxユーザー全体を代表するものなのか、それとも一部の声の大きい少数派にすぎないのかは判断が難しいと述べている。とはいえ、Mozilla自身はユーザーベース全体を俯瞰できる立場にあると指摘している。
興味深いのは、Mozillaが自らを「AI対応ブラウザの一つ」として位置づけようとしている点だ。記事では、同社が大手テック企業や資金力のあるスタートアップと競合する形で「AIブラウザ市場」に参入しようとしていることに疑問を呈している。多くのブラウザユーザーがAI機能の統合に懐疑的である一方、他の企業ではAI機能の導入に積極的な支持層も存在する。
Mozillaの公式発表文では、この立ち位置の難しさを反映するような以下の一節が引用されている。
私たちは、AIによってオンライン体験がよりスムーズで便利になり、日々の煩わしさから解放される可能性があると考えている。
しかし、AI企業が作るブラウザは「常にAIを使うか、まったく使わないか」という極端な選択をユーザーに迫っている。私たちは最高のブラウザを目指しており、それはユーザーごとに異なるニーズを尊重することを意味する。AIを日常的に使う人もいれば、たまにしか使わない人、あるいは興味はあるが使い方がわからない人もいる。
どのような選択をしても、Firefoxでは常にあなたが主導権を握っている。
こうした柔軟な姿勢は、AIに慎重なユーザー層とAI機能を求める層の双方に配慮する試みといえる。しかし記事では、Mozillaが「誰も怒らせない」方向に舵を切るあまり、かえってどちらの陣営からも支持を得にくくなるリスクを指摘している。
AI機能に否定的なユーザーには、既にAIを一切含まないFirefox派生ブラウザの選択肢も存在する。代表的なものとして、LibreWolf、Waterfox、Zen Browserなどが挙げられている。これらはMozillaのコードをベースとしながらも、プライバシー重視やAI排除を明確に打ち出している点で、今後の注目を集める可能性がある。
詳細はI think nobody wants AI in Firefox, Mozillaを参照していただきたい。