9月5日、Atlassianが「Welcoming The Browser Company to Atlassian」と題した記事を公開し、話題を呼んでいる。
この記事では、ブラウザ開発のThe Browser Company(DiaやArcの開発元)を買収し、AI時代の業務に最適化した「働くためのブラウザ」を構想する計画について詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
概要 — The Browser Company買収の狙い
AtlassianはThe Browser Companyを買収する合意に至ったと発表した。同社はニューヨークを拠点とし、革新的なブラウザ「Arc」や、次世代の業務特化型ブラウザ「Dia」を開発してきた企業である。
Arcは既にデザイン性と使いやすさで高い評価を受けており、タブの扱い方やブックマークの概念を刷新することで注目を集めた。一方Diaは、知識労働者の生産性を直接支援することを目的に設計されている。今回の買収は、Arcで培ったUI/UXの革新性と、Atlassianが持つチームコラボレーションの深い知見を掛け合わせ、知識労働の基盤をブラウザから再構築する狙いである。
背景 — いまのブラウザは「仕事のため」に設計されていない
現在主流のブラウザは、ニュース閲覧や動画視聴、検索といった「ブラウズ」に最適化されてきた。一方、実務ではメール対応、設計レビュー、Jiraの課題更新、メモ作成など「タスク進行」が中心であり、タブは瞬時に“やるべき仕事の山”へと化す。従来のブラウザは各タブを単なるページとして均等に扱い、ユーザーの業務文脈や優先度、ツール間の関連を理解しない――この断絶が生産性のボトルネックになっているという認識である。

Diaを「ナレッジワーカーのためのブラウザ」に
Atlassianは、ブラウジングのためではなく「仕事を進めるためのブラウザ」が必要だとする。タブを“文書”ではなく“タスクの入れ物”として扱い、ユーザーの業務コンテキストに沿って次のアクションを促す設計に転換する構想である。
The Browser Companyとともに、Diaを知識労働者向けに最適化するビジョンが示された。ポイントは以下の通りだ。
- SaaS最適化 — メール、プロジェクト管理、デザインなど主要SaaSに合わせてタブを拡張し、作業を前に進めるための文脈情報を付与する。

- AIスキルと個人のワークメモリ — アプリ、タブ、タスクの間に点在する情報をAIで接続し、検索や要約、次の一手の提示を行う。

- 信頼性とセキュリティ — 企業導入を前提に、セキュリティ、コンプライアンス、管理機能を中核に据える。エンタープライズの多くの業務がブラウザ上で行われる一方で、セキュアブラウザの導入率は依然低いという課題に対応する設計とする。
今後の見通し
両社は強みを持ち寄り、Diaを「知識労働者が愛用するブラウザ」へと磨き上げる計画だという。Atlassianの「すべてのチームの潜在能力を解き放つ」というミッションを、ブラウザという日常の作業基盤へ拡張する取り組みになると位置づけている。
詳細はWelcoming The Browser Company to Atlassianを参照していただきたい。