3月26日、Linux関連のニュースを発信する海外メディアOMG! Ubuntuが「Linux Kernel 6.14 Delivers Big Boost to Linux Gaming + More」と題した記事を公開した。この記事では、Linuxカーネル6.14におけるゲームおよびAI向けの機能強化について詳しく紹介されている。
以下に、その内容を紹介する。
Linuxカーネル6.14が月曜日にリリースされ、複数の最適化とセキュリティ向上が加わった。これにより、Linux上でのコンピューティング環境がさらに快適になると期待されている。
中でも注目されるのは、 Windowsゲームのサポート拡充を狙った新機能 だ。カーネル6.14には「 ntsync 」と呼ばれる新しいドライバが追加された。Windowsの内部構造に詳しい人なら、その名称から推測がつくだろうが、Windows NT系システムで行われるリソース管理をLinux上でより効率的に行えるようになるドライバだ。これにより、WineやProtonなどのWindows互換レイヤーを通じて実行するWindows向けゲームやアプリケーションのパフォーマンスがさらに向上するとされている。パッチの作者によれば、フレームレートが50〜150%ほど上昇したケースもあったという。
ゲーム関連では、xpadドライバによってオフブランドのXbox 360ワイヤレスコントローラがサポートされるようになった。さらにNintendo Switch OnlineのSega 6ボタンゲームパッドやLenovo Go Sの内蔵マイクなど、いくつかの新しい周辺機器にも対応している。
AI領域では、AMDの新しいNPU(Neural Processing Unit)「XDNA」をサポートするドライバが注目 だ。これは最新チップに搭載される機械学習向けアーキテクチャであり、このドライバを利用することでローカル環境のLLMチャットボットなどAIタスクを効率よく処理できるようになると期待されている。
さらに、Microsoftの一部の最新PCや外部キーボードに搭載されている 「Copilotキー」がLinuxカーネルで正式に「KEY_F23」としてマップされるようになった。 現状、Copilotキーが標準でAIアシスタントを呼び出すわけではないが、ショートカットに割り当てるなど自由に活用できるようになる。今後、各ディストリビューションが何をデフォルトに割り当てるかにも注目したいところだ。
セキュリティ面でも、リーク対策やGPU管理の最適化など多数の修正が入り、ハードウェアを効率よく活用しやすくなる見込みである。
新バージョン6.14を使いたい場合、次期Ubuntu 25.04のリリースを待つのが最も簡単だろう。同バージョンではリリース当初から6.14が採用される見込みで、最近リリースされたGNOME 48も同梱されるという。現在のUbuntu 24.04 LTSはカーネル6.8を使用しているため、将来的に6.14へのバックポートが計画されている。より先端をいくディストロであれば、すでにカスタムカーネルとして6.14パッチを取り込んでいる可能性もある。
ちなみに今回のリリースは予定より1日遅れたが、Linus Torvalds本人は 「遅れた理由は、土壇場で大きな問題があった…と言いたいところだが、単に自分の怠慢だ」 と述べている。
I’d like to say that some important last-minute thing came up and delayed things. But no. It’s just pure incompetence.
今回のリリースについてより詳しく知りたい場合は6.14のgitコミットも参考にしてほしい。
ソース: OMG! Ubuntu