2月28日、HashiCorp Blogで「HashiCorp officially joins the IBM family」と題した記事が公開された。この記事では、HashiCorpがIBMファミリーに正式に加わった背景や今後のビジョンについて詳しく紹介されている。
以下に、その内容を簡潔にまとめて紹介する。
HashiCorpは昨年発表されたIBMによる買収が完了し、正式にIBMグループの一員となったと発表した。これにより、マルチクラウドのインフラ管理を支援するTerraformやセキュリティ基盤を担うVaultなど、HashiCorpが提供する多彩なツール群がIBMのリソースやテクノロジーとの相乗効果を得られる見通しである。
同社の共同創業者であるミッチェル・ハシモト氏とアーモン・ダガー氏は、約10年前の創業当初から「クラウドコンピューティングの普及に合わせ、アプリケーションの構築・提供方法が大きく変化する」という確信を持っていたと述べている。Vagrantの“vagrant up”に代表されるように、HashiCorpは開発者やオペレーターの視点を意識し、実運用環境で求められる課題を解決する製品を展開してきた。
Terraformによるインフラストラクチャ構成管理やVaultのゼロトラストアーキテクチャ実現など、同社のツールは多くの企業やパートナーコミュニティによって採用されてきた実績がある。さまざまな統合製品・システムインテグレーターとの連携を進めることで、幅広いユースケースに対応している点も特徴的である。
IBMのグローバルな規模とR&D(研究開発)リソースを活用することで、HashiCorpの製品がさらに多くのユーザーに届けられるようになると期待されている。具体的には、TerraformとAnsibleを組み合わせたインフラ自動化や、FinOpsツールを統合したコスト最適化ソリューションなど、IBMやRed Hatのサービスとの連携が強化される可能性が高い。VaultをOpenShiftやAnsible、Guardiumなどと組み合わせることで、開発から運用・セキュリティ管理までを一元的にカバーできるソリューションを実現しようという構想も示されている。
今後もHashiCorpはIBM Software部門の一部として活動を続けつつ、従来から掲げる「マルチクラウド時代におけるインフラの一貫性とセキュリティ、コスト効率の追求」をさらに推進していく方針だ。新たな企業体制のもとで、複雑化するクラウド環境の課題に対し、より総合的な形でソリューションを提供することが期待される。
詳細は[HashiCorp officially joins the IBM family」を参照していただきたい。