2月26日、海外のテクノロジーメディアPhoronixが「Rust-Written Zlib-rs Is Not Only Safer But Now Outperforming Zlib C Implementations」と題した記事を公開した。この記事では、Rustで書かれたZlib-rsが安全性のみならずZlibのC言語実装を上回るパフォーマンスを実現している点について紹介されている。
以下に、その内容を紹介する。
Zlib-rsは、Rustプログラミング言語によるZlib圧縮アルゴリズムの実装であり、安全性を高めると同時に、広く使用されているC言語ベースのZlibを上回るパフォーマンスを示し始めているという。先週リリースされたZlib-rs 0.4.2では、公式のリリースアナウンスで次のように報告されている。
「多くのパフォーマンス改善を行った。われわれは、解凍(inflate)において他の実装を大きく上回る速度を達成しており、圧縮についても重要なケースでは高速化を実現している。」
このZlib-rsを開発しているTrifecta Tech Foundationは、zlib-ngやChromiumのzlib実装など、既存のZlib C言語実装と比較したパフォーマンス向上について詳しく解説する長文のブログ記事も公開している。
そのブログ記事「zlib-rs is faster than C」で挙げられているポイントは以下の通りだ。
「われわれの知る限り、現時点で解凍に関して最速のAPI互換Zlib実装である。zlib-ngをかなりの差で上回り、Chromiumで使われている実装よりも高速だ。
…
ほとんどのケースで、zlib-ngよりも大幅に高速である。特に1KBや65KB程度の実用的なサイズにおいて10%以上、あるいは6%以上の差を示す。
…
Chromiumプロジェクトで使用されているZlib実装(libz-sysを改変して利用している)もzlib-ngより高速なことが多い。しかし、このベンチマークでは、より実用的なチャンクサイズでZlib-rsがChromiumの実装も上回っている。
圧縮についても改善を続けている(多くのPRを寄せたBrian Paneに感謝)が、結果はやや混在している。」
Zlib APIとの互換性を維持しながら、こうした優れた性能を示しているZlib-rsは、今後さらなるパフォーマンス向上とパッケージ化を進めるために9万5千ユーロの資金調達を目指しているとのことだ。
この件は、Rust言語が安全性の面だけでなく、高速性においてもC言語を置き換えうる可能性があることを示す一つの証左と言えるだろう。
詳細はRust-Written Zlib-rs Is Not Only Safer But Now Outperforming Zlib C Implementationsを参照していただきたい。