2月14日、Rust Blogで「2024 State of Rust Survey Results」と題した記事が公開された。この記事では、Rust言語の利用状況やコミュニティの現状、学習方法や企業での採用事例などについて詳しく紹介されている。
以下に、その内容を簡潔にまとめて紹介する。
コミュニティの多様性
Rustは世界中で利用されており、トップ11の国・地域は以下の通り(日本が11位にいる)。
- アメリカ (22%)
- ドイツ (14%)
- イギリス (6%)
- フランス (6%)
- 中国 (5%)
- カナダ (3%)
- オランダ (3%)
- ロシア (3%)
- オーストリア (2%)
- スウェーデン (2%)
- 日本 (2%)
Rustの利用傾向
回答者のうち92%近くがRustを現在使用しており、日常的にRustを書いている人の割合も増加傾向にあると報告されている(ただし、この調査はRustユーザーを対象としたものなので、数値が高いのは当たり前)。
昨年と同様に、Rust ユーザーではないと自認する人の約 31% が、 Rust を使用しない主な理由として「難しさ」を挙げている。 また、Rust を使用しない最も一般的な理由は、「まだ試す機会がない」というものだった。
また、以前Rustを使っていたが現在は使っていないという層のうち、 将来的に再びRustを使う意欲のある回答者は6割以上いる。
学習方法
学習リソースとしては公式ドキュメントや『The Rust Programming Language』というオンライン書籍、そしてGitHub上のソースコードを読む手段が依然として主流だという。また、LLMツール(CopilotやChatGPTなど)の活用や公式フォーラムでのコミュニケーションも増えているようだ。
開発環境とプラットフォーム
Rustを主に使用しているOSとしては Linuxが最も多く、 続いてmacOSとWindowsがほぼ同程度の利用率という構図が続いている。
ターゲットプラットフォームとしては、 サーバ向けやWebAssemblyなどが引き続き人気だが、組込みやモバイルもわずかに増加している。
企業でのRust採用
企業でRustを本格的に活用している割合は、昨年の 34% に対して今年は 38% であり、この指標は過去数年間で明らかに上昇傾向にある。
Rustが企業で採用される理由の最も大きなものは、 比較的正確でバグのないソフトウェアを構築できる ことである。2 番目に多かった理由は、Rust はパフォーマンスに優れている点である。
また、回答者の企業の多くがRustの導入によりビジネス上の目標を達成できていると回答している。全体的に、プログラマーや企業は Rust の使用に非常に満足しているようだ。
Rust は、サーバー バックエンド、Web およびネットワーク サービス、クラウド テクノロジーの作成で特に人気がある。組み込みユースケースでも、ますます人気が高まっているようだ。
直面している課題
Rust利用者が直面している課題としては、 コンパイル速度の遅さやデバッグサポートの弱さ、ビルドアーティファクトの大きさ が依然として挙げられている。一方、Rustの実行性能やコンパイラの安定性、ドキュメントの充実度には満足しているユーザーが多いという。
新機能や安定化が待たれるトピックとしては、非同期クロージャやif/let whileチェーン、ジェネレータ機能、ジェネリック定数式のさらなる拡張などが紹介されている。これらの機能は、今後のエディションやコンパイラアップデートで順次実装される見込みだ。
Rustの将来に関する懸念事項に関しては、複雑化を懸念する声とより早い安定化を望む声が混在していると記事では分析されている。Rustプロジェクトのガバナンス体制やRust Foundationのサポートに対する懸念は昨年よりやや減少傾向にあるという。
年次調査の結果は、言語の開発やツール整備、コミュニティ支援の指針として今後も活用されるとのこと。
詳細は「2024 State of Rust Survey Results」を参照していただきたい。