9月16日、Linux FoundationはLinuxカーネル6.11のリリースを発表した。この新しいバージョンは、数多くの新機能と改善が含まれており、ユーザーにさらなる柔軟性とパフォーマンスを提供する。
主な新機能の一つに、Qualcommプラットフォーム上のBluetooth/WLANチップに対応するための新しいドライバーサブシステムが導入された点が挙げられる。また、x86システムでは、getrandom()
のvDSOサポートが追加され、メモリ圧迫時にカーネルがページをゼロにする新しいmmap(2)マッピングが可能となった。さらに、AArch64(ARM64)ACPIシステム向けの仮想CPUホットプラグサポートや、割り込みドメインを作成するための新しいメカニズムも導入されている。
その他にも、以下の新機能や改善が含まれている。
- dmaベクターを使用した転送をサポートする
dmaengine_prep_peripheral_dma_vec()
関数 - STMicro STM32 DMA3サポート
- Rustツールチェーンの最低バージョンサポート
- Arrow LakeおよびLunar Lake CPUプラットフォームのサポート
- Loongson-3 CPUFreqドライバのサポート
- amd-pstate cpufreqドライバでの高速CPPCサポート
- ACPIファンドライバへのhwmonインターフェースサポート
また、KVM(仮想化技術)のLoongArchアーキテクチャ向けサポートが強化され、ParaVirtスティールタイムのサポートや、VMマイグレーションの改善が含まれている。さらに、ディスクアカウンティングスキームの再設計や、新しいpNFS NVMeレイアウトタイプに対応したNFSサーバーサイドのサポートも実装された。
特筆すべき点として、Linuxカーネル6.11では、Rustで記述されたブロックドライバのサポートや、ヒープスプレー攻撃から保護するための専用バケットスラブアロケーターが導入されている。また、AMDのSEV-SNPセキュア暗号化仮想化メカニズムの初期サポートや、RISC-Vアーキテクチャ向けのメモリホットプラグ、STACKLEAKサポートも追加された。
Linuxカーネル6.11は短期間でサポートが終了するブランチであり、11月中旬から下旬に予定されているLinuxカーネル6.12が次の長期サポート(LTS)バージョンとなる見込みである。
詳細はLinus Torvals氏によるメールポスト]をご参照いただきたい。