8月31日、Drew Devaultが「Rust for Linux revisited」と題した記事を公開し、RustをLinuxカーネルに導入する試みが直面している課題について鋭い批判を展開した。
その中でも特に注目を集めたのは、Linuxコミュニティの複雑さと政治的な障害が、開発者たちを「燃え尽き症候群」に追い込んでいるという指摘だ。
Devault氏は、Linuxコミュニティを「無法地帯」と表現した。全てのサブシステムが独立した領域として存在し、それぞれが1,700人以上のLinuxメンテナーの気まぐれに左右される状況を強調している。彼は、RustをLinuxカーネルに効果的に導入するためには、技術的な作業よりも遥かに多くの政治的調整が必要であり、それがプロジェクトの進行を著しく妨げていると指摘した。
「Rust-for-Linux開発では、1分のコーディング作業に対して99分の政治的作業が必要」とDevault氏は述べ、これが開発者たちに多大なストレスを与え、燃え尽き症候群の温床となっていると警鐘を鳴らしている。彼はまた、フリーソフトウェアの本質である「ドオクラシー(やった者勝ち)」が、このような状況下では機能しておらず、開発者たちが傷ついていると懸念を示している。
最後に、Devault氏は大胆な提案をしている。彼は、現在のLinuxカーネル開発における政治的な障害を回避するため、少数精鋭のRust開発者チームが、新たにLinux互換のカーネルをゼロから作成する方が、はるかに迅速で効率的であると主張している。この提案が、今後のRust-for-LinuxプロジェクトやLinuxカーネル開発全般にどのような影響を与えるか、注目されるところだ。
詳細は[Rust for Linux revisited」を参照していただきたい。