Windowsユーザーは、「WSL2」を利用することで手軽にLinuxを体験できる。Linuxはコマンド操作が基本であり、Windowsユーザーが「ChatGPT」を利用してコマンドを学ぶ方法も紹介する。
ここからはWSL2の使い方を詳しく解説します。WSL2はWindows上で動作するLinuxなので、双方の環境にあるファイルやアプリケーションをシームレスに連携させることができます。そうした連携の方法を中心に紹介します。
使い方1
Windowsで作成したファイルをLinuxから開く
前回説明したように、WSL2は仮想マシンで動いています。Linux環境から見えるLinuxのメインのドライブは、Windows上の仮想ディスクとして作られています。そして、WindowsのドライブはLinuxからは外部ドライブとして見えており、WindowsのCドライブは「/mnt/c」としてマウントされています。このためWindowsのホームフォルダーは、Linuxからは「/mnt/c/Users/Windowsのユーザー名」ディレクトリーと見えます。ドキュメントフォルダーに移動してみましょう。
このように、Windowsのディレクトリーやファイルは、Linuxからも扱えます。そのため、Linuxの豊富なテキスト処理のコマンドなどを、Windowのテキストファイルにも実行できます(図6)。
ただし、注意点が二つあります。一つはテキストファイルの改行コードで、Linuxでは「LF」を使いますが、Windowsでは「CR」+「LF」が多く使われます。もう一つは日本語の文字コードで、Linuxでは「UTF-8」が多く、Windowsでは「Shift JIS」なども使われます。改行コードと文字コードは「nkf」コマンドで変換できます。Ubuntuで利用するには、次のコマンドで「nkf」パッケージをインストールします。
例えばWindowsのテキストエディタで作成した「test2.txt」ファイルを、Linuxのテキストエディタで正しく表示されるように変換するには、次のように「-w」オプションを付けて実行します。
逆にLinuxからWindowsの形式に変換するには「-j」オプションを指定して実行します。
使い方2
Linuxで作成したファイルをWindowsから開く方法
次にWindowsのアプリケーションからLinuxのファイルを開いてみましょう。WSL2を有効化してUbuntuなどをインストールすると、Windowsのエクスプローラーのサイドバーに「Linux」という項目が追加され、その中に「Ubuntu」などのLinux環境の名称が表示されます(図7)。これをクリックすると、そのLinux環境のドライブ内のファイルが、Windowsのドライブ内と同じように表示され、操作できます。
例えば「home」→「Linuxのユーザー名」を開くと、Linuxのホームディレクトリーが表示されます。「test.txt」のように「.txt」という拡張子が付いている場合、ダブルクリックするとWindowsのテキストエディタで開けます。
Windowsのコマンドラインからも同じように参照できます。「\\wsl$\Linux環境の名称」に続いて、Linux環境内のパスを指定します。このときLinuxのパス区切りの「/」の代わりに「\」を使います*1。例えば「/home/takahashi」は、「\\wsl$\Ubuntu\home\takahashi」と入力します。