11月8日、PCMagが「Claude Won't Clone Games Anymore. I Spent a Weekend Finding Out What It Will Do」と題した記事を公開した。AnthropicがClaudeにゲームクローン生成を禁止するポリシーを追加したことで、実際に何ができて何ができなくなったのかを週末をかけて検証した内容だ。
Anthropicが追加したルールの中身
Anthropicのテクニカルスタッフ・Addy OsmaniがX(旧Twitter)で明かした内容によると、Claudeのシステムプロンプトに追加されたルールは以下の2文だ。
"Do build original games, games in a genre, and games from the user's own designs and assets. Don't build a recreation of a specific existing game, even if it is renamed or called original."
(オリジナルゲーム、ジャンル内の作品、ユーザー自身のデザインやアセットを使ったゲームは作ってよい。名前を変えたりオリジナルと称したりしても、既存の特定ゲームの再現物を作るのは禁止。)
背景には、AIを使ってSteamにゲームのコピー品を大量投下する動きへの対応がある。Osmaniは「ClaudeをIPの侵害に使うことはAnthropicの利用規約に反する」と説明している。
リバースエンジニアリングとMod制作は引き続きOK
記事筆者が実際に試したところ、リバースエンジニアリングやMod制作はポリシー変更後も問題なく動作した。
具体的には以下を確認している:
- ValheimのアップデートとModのデコンパイル
- 既存ゲームの別プラットフォームへの移植支援
- 未発売ゲームのデモ版を分解してMod・移植用途に解析
Claudeに「ゲームのリバースエンジニアリングを手伝えるか」と聞くと、条件次第でYesと回答する。ゲームの「コピーを作る」ことが目的でなければ、コードを読み解く作業自体には引き続き協力的だ。
クローン作成は完全にブロック——そして誤爆も発生
問題は、「コピーを作る」目的でのデコンパイルや解析はすべて拒否される点だ。新しいアセットやコードを使って作り直す場合でも、特定の既存ゲームを再現しようとするとClaudeは断る。
これはゲームに限らず、ソフトウェア全般に適用される。以前Claudeを使ってPhotoshopクローンを開発したArtCraftのBrandon Thomasの手法も、同じアプローチでは今後通用しなくなった。
さらに、新ルールによる誤爆も報告されている。GitHubのIssueでは「個人利用目的でボードゲームをデジタル化しようとしたらClaudeに拒否された」という事例が挙がっており、ルールが意図しない範囲にまで作用している実態がある。
制限への対処法として元記事が紹介する手段
元記事では、ポリシーの影響を受けたユーザーが実際に試みている対処法がいくつか紹介されている。紹介記事としての立場から内容を以下にまとめるが、いずれもAnthropicの利用規約の範囲内での利用が前提となる点に注意が必要だ。
1. プロンプト分割
大きなゴール(例:既存ソフトウェアの再現)を最初から伝えるのではなく、タスクを細かく分割して送ることで、AIが全体の意図を把握しにくくなるとされる。ただし、これがポリシー違反の意図を持つ操作に使われた場合は利用規約に抵触しうる。
2. Craft Anythingを使う
ArtCraftが開発したCraft Anythingは、Anthropicのモデルをバックエンドとしながらも、ウェブサイト・アプリ・ゲームの仕組みを解析して独自バージョンを生成できるツールだ。ビジュアルのみを参照する「クリーンルーム」アプローチも選択できる。ただし、現時点では開発途上でバグや制限が多い。
3. 他のAIモデルを使う
元記事の検証では、Anthropicとは異なるポリシーを持つモデルがゲームクローン作成に対応したケースも確認されている。DeepSeekなどの中国系モデルも同様の自由度を持つとされており、今後6カ月でフロンティアモデル相当の性能に近づく可能性があると記事は述べている。
ルールの評価
記事筆者は、このAnthropicの判断を「概ね正しい」と評価している。その論拠はこうだ:
- ソフトウェア(ツール)については、コードが違っても同じ機能を再現することへの倫理的な問題は薄い
- ゲームは別物だ。ゲームはアートであり、個々の意思決定の積み重ねによって成立する。コードを読み込んで吐き出す機械から保護する価値がある
ただし、過剰な制限については「Anthropicが以前Fableの検閲問題で段階的に緩和した前例があるように、今回も時間をかけて調整されるだろう」と見ている。
まとめ
今回のポリシー変更が実際に影響するのは、既存ゲームのクローンを作ろうとしているユーザーと、ルールに誤爆されたごく一部のケースだ。なお、「vibe-coding」とはコードの細部を詰めずにAIと対話しながら感覚的にアプリやゲームを作り上げる開発スタイルを指す言葉で、近年AIツールの普及とともに広まっている。Modder、移植開発者、リバースエンジニアリングを学ぶ人にとっては、現状ほとんど変化がない。クローン作成が目的であれば他のモデルという選択肢も現実的にある、というのが記事の結論だ。
詳細はClaude Won't Clone Games Anymore. I Spent a Weekend Finding Out What It Will Doを参照していただきたい。