11月9日、My Electric Sparksが「Developer Builds Playable 3D Game Sumiro In 24 Hours With AI Tools」と題した記事を公開した。AIツールだけを使い、ソロ開発者が24時間でプレイアブルな3Dゲームを作り上げた事例について詳しく紹介している。
6ステップで動くゲームを作る:ツールスタックの全貌
開発者のShikhar(X: @xikhar)が公開した「Sumiro」は、霧に包まれた山や鳥居を舞台にした日本風の3Dプラットフォーマーだ。ブラウザで動作し、xikhar.github.io/sumiro で誰でも無料でプレイできる。
使用ツールの組み合わせが特徴的だ。
- Claude Opus(元記事に記載のモデル名)― コーディング全般と布の物理演算。Anthropicが提供する大規模言語モデルで、コード生成タスクに広く使われている
- Flux 3 Max ― 参照映像(ビジュアルの基準となる短いクリップ)の生成
- GPT Image ― キャラクターの側面図生成
- Tripo ― 画像から3Dモデルへ自動変換するAIサービス。テキストや画像を入力するだけで3Dメッシュを出力できる
- Blender ― オープンソースの3DCGソフト。3D空間の組み立てに使用
- Three.js ― JavaScriptベースの3Dレンダリングライブラリ。WebGLを抽象化し、ブラウザ上で3D描画を可能にする
ワークフローは「デザインドキュメントではなく参照映像から始める」という点が面白い。まずFlux 3 Maxで霞む階段を登る人物の短いクリップを生成し、ゲーム全体のビジュアルトーンをその映像に合わせた。次にBlenderで世界を再構築し、Claude Codeでレベルに落とし込む。キャラクターはGPT Imageが出力した側面図をTripoが3Dモデルに変換し、布の物理演算をClaudeが担当した。人間が担ったのは「各モデルへの指示出しとバグ修正」だ。
コミュニティの反応:称賛と批判が真っ二つ
Instagramで公開された投稿は大きな注目を集めた。元記事によれば、カルーセル投稿が1万4000いいね、別の関連投稿が1万7000いいねをそれぞれ獲得している。
ただし、評価は真っ二つだ。称賛側は「1日でここまで作れるなら新しいゲームジャムの形が生まれる」と主張する。批判側は「動きが硬く、テクスチャが粗く、音楽も弱い」と指摘し、「魂のないAIスロップ」と切り捨てる。
特に経験豊富なゲーム開発者からの批判は具体的だ。「Sumiroはキャラクターコントローラーのプロトタイプであって、ゲームではない」というのが主な論点で、ストーリー・進行・ゲームループの欠如を問題視している。次のプラットフォームに移動する以外の明確な目標がなく、「世界は綺麗だが、プレイが薄い」という評価だ。
また、公開されているデモはボットが録画したものであることも判明している。流れるようなプレイ映像はスクリプトによって制御されたもので、実際の手動プレイとは異なる。これはデモの印象に対する批判をさらに複雑にしている。
コストと「作者」の問題
プロジェクトのトークンコストについて、元記事はコミュニティの推計として数百〜数千ドルの範囲を挙げている。推計の根拠は元記事内の読者・開発者コミュニティによる試算であり、公式な計測値ではない点は留意が必要だ。大規模なインディースタジオの開発費と比べれば格安だが、個人が気軽に試せる金額でもない。
「AIにプロンプトを投げるのは開発ではない」という意見がある一方で、「複数のAIエージェントをオーケストレーションすることが新しいエンジニアリングの役割だ」という見方もある。同じ週にClaudeを使ったタワーディフェンスや都市シミュレーターが複数のソロ開発者から公開されており、Sumiroは単発の事例ではなくトレンドの一部だ。
まとめ
Sumiroの実態は「ゲームのプロトタイプ」であり、完成したゲームとは言い難い。ただ、24時間・ソロ・AIだけでブラウザ上で動くプレイアブルな3D体験が作れるという事実そのものが、開発コミュニティへの問いかけになっている。「ゲームかどうか」という議論の噴出自体が、AIツールによる制作物に対してコミュニティが何を期待し、何を評価の基準とするかを浮き彫りにしている。
詳細はDeveloper Builds Playable 3D Game Sumiro In 24 Hours With AI Toolsを参照していただきたい。