11月6日、madrobot.blogが「McDonald's wants AI to take your drive-thru order at most US restaurants by the end of 2027」と題した記事を公開した。この記事では、マクドナルドがAI音声注文システム「Archy」を2027年末までに米国の大半の店舗に展開する計画について詳しく紹介されている。
2027年末、米国マクドナルドの大半がAI受注に
マクドナルドCEOのChris Kempczinski氏は11月4日の投資家向け説明会で、同社のAI音声注文システム「Archy」を2027年末までに米国の大多数の店舗に展開すると表明した。米国内の店舗数は約14,000店に上るため、7,000店以上でAIが注文を受け付ける計算になる。※この「7,000店以上」という数字は、元記事記載の「大多数の店舗」という表現と「約14,000店」という店舗数をもとにした編集部の試算である。
Archyとは何か
Archyは、ArchIQと呼ばれるレストラン運営プラットフォームの音声注文コンポーネントだ。英語とスペイン語に対応しており、処理は外部のデータセンターではなく、各店舗内のGoogle Cloudエッジコンピュータ上で完結する。マクドナルドは2023年からGoogle Cloudと連携しており、今回のシステムはその延長線上にある。
Archyが担うのは音声注文だけではない。在庫の確認や、袋の重量をスケールで計測して中身が揃っているかチェックする機能も持つ。2026年6月のラスベガスでの年次大会では米国内5店舗でテスト中と発表され、9月のInvestor Dayで詳細が明らかになった。現在はオーストラリアでもパイロット展開が進んでいる。
「週50時間以上の労働時間を解放する」
Investor Dayでグローバル最高情報責任者のBrian Rice氏は、Archyの精度が90%超と述べた上で、次のように語った。なお、この精度は同社の自己申告値であり、元記事においても第三者による独立した検証は報告されていない。
As Archy scales, it will free at least 50 labor hours per week.
— Brian Rice, global CIO, McDonald's
また「早期テスト店舗では、ドライブスルーの顧客満足度が全国平均を上回っている」とも説明した。ただし、浮いた労働時間が人員削減につながるかどうかは明言されていない。米国店舗の約95%はフランチャイズ運営であり、シフトの決定はフランチャイジー側に委ねられている。
IBMとの失敗から学んだ2度目の挑戦
今回はマクドナルドにとってAI音声注文の2度目の試みになる。同社は以前、IBMと共同開発した自動注文システムを米国内100店舗以上でテストしたが、誤注文が相次ぎSNSで炎上し、2024年7月26日までに全停止した経緯がある。
今回のArchyはIBMではなくGoogleの技術基盤の上に構築され、厨房システムとも統合されている点が異なる。Kempczinski CEOはこれを、2026年9月に発表した成長戦略「McDonald's NEXT」の一環と位置づけた。「McDonald's NEXT」とは、同社が2026年9月のInvestor Dayで公表した中期成長戦略で、デジタル・テクノロジーへの投資加速と店舗オペレーションの効率化を柱としている。
背景として、同社の業績も無関係ではない。2026年第3四半期の米国内既存店売上高は前年比0.2%減と振るわず、グローバルでは1.5%増だった。
なお、マクドナルドはドライブスルー以外でもAIを活用しており、顧客の支払い意欲をもとにビッグマックの価格を算出するAI価格エンジンも導入済みだ。
業界全体が注目する理由
前回の失敗が公衆の目の前で起きただけに、Archyが数千店規模に広がったときの精度と、クルーの労働時間への実際の影響は、外食業界全体が注視することになる。AIが数百万人の日常的な注文行動を処理する実証事例として、成否の行方は他チェーンの意思決定にも直結する。
※編集部の考察:ドライブスルーへのAI導入競争はマクドナルドだけの話ではない。Wendy'sはGoogleと共同で「FreshAI」を展開し、Yum! Brands(KFC・タコベル親会社)もNVIDIAと提携したAI注文システムのテストを進めている。ただし、いずれも現時点で数千店規模の全国展開を公式に宣言した事例はなく、マクドナルドの今回の計画が実現すれば業界最大規模の導入事例となる可能性がある。
詳細はMcDonald's wants AI to take your drive-thru order at most US restaurants by the end of 2027を参照していただきたい。