11月6日、CNBCが「Microsoft plans to use fewer neoclouds as AI buildout shows signs of strain」と題した記事を公開した。MicrosoftがAIインフラ整備においてネオクラウド(neocloud)との提携を絞り込み、自社データセンターへの集約を進めているというこの動きは、単なる一企業の調達方針の変更にとどまらない。GPU専業クラウドという新興カテゴリー全体の事業モデルが問われる構造的な転換点として読むべき出来事だ。
【なぜ重要か】ネオクラウドという「AIバブルの象徴」が試されている
ネオクラウド(neocloud)とは、GPU(グラフィックス処理ユニット)を大量に搭載したデータセンターをクラウド形式で提供することに特化した比較的新興の事業者群を指す。2022年のChatGPT登場以降、AI学習・推論用のGPU需要が急増したことで台頭し、業界調査では現在323社が存在するとカウントされている。
ところがMicrosoftが方針を転換し始めたことで、市場はその持続可能性に疑問符を付けた。元記事公開日(11月6日)時点で、CoreWeave、Nebius、IRENの株価はいずれも過去1カ月で約半値に落ち込んでいた(同日金曜日に反発)。専門家はネオクラウドの多くが生き残れないと予測しており、今回のMicrosoftの動きはその淘汰を加速させる引き金になりうる。
MicrosoftがネオクラウドをAIインフラ戦略の中心から外す
Microsoftは複数のネオクラウド事業者との関係を縮小する方向で動いており、自社データセンターの拡充と少数の主要サプライヤーへの集中を優先する方針だと、事情に詳しい複数の関係者がCNBCに語った。
Microsoftがこれまで提携してきたネオクラウドには、CoreWeave、Nebius、Chronoscale、IREN、Lambda、Nscaleのほか、Oracleが含まれる。OracleはGPU専業のネオクラウドではなく大手クラウドプロバイダーだが、AIインフラへの大規模投資を積極的に進めており、元記事では同様の文脈で言及されている。現在はどのネオクラウドとの契約を終了するかを評価している段階であり、最終決定には至っていないという。関係者の1人によれば、MicrosoftはOracleとの契約を更新しないことをすでに決定した。
Microsoftの広報担当者は声明で、インフラ戦略は「柔軟性と選択肢の上に成り立っている」と述べ、「顧客の需要に合わせて投資を定期的に見直している」と説明した。
Nscaleとの決別がすでに現実に
方針転換はすでに具体的な形で表れている。Microsoftは英国拠点のネオクラウドNscaleとの協業をすでに大幅に縮小しており、イングランドで利用予定だったサイトから撤退した。MicrosoftのUK・アイルランド担当CEOのDarren Hardmanは、撤退の理由としてNscaleの電力接続確保能力に問題があったことを挙げた。さらにFinancial Timesの報道によれば、テキサス州のNscaleとの契約更新も見送った。
Nscaleは9月中旬にIPO申請を提出しているが、その後目論見書を更新しておらず、IPO申請書にはMicrosoftを「将来的に重要な顧客になると期待される」と記載していた。
ティッカーIRENで上場するIRENとの関係でも問題が生じている。IRENは8月にMicrosoftへデータセンターキャパシティを引き渡したが、Microsoftがネットワーク機器のアップグレードを要求したため、インフラの稼働開始が当初の2026年内から2027年1月〜2月にずれ込む見通しとなった。
ネオクラウド業界に広がる「構造的な重圧」
業界全体にとっても環境は厳しい。金利上昇によりネオクラウド各社の重い債務負担への懸念が強まっている。元記事公開日(11月6日)時点の株価動向として、CoreWeave、Nebius、IRENはいずれも過去1カ月で約半値に落ち込んでいた点は前述の通りだが、その後の市場動向については元記事公開時点以降の情報を別途確認いただきたい。
IREN Co-CEOのDaniel Robertsは決算説明会でこう述べた。
「ここ数週間で資本市場の目は格段に厳しくなった。問われる質問が『契約規模はどれほどか』から『それを本当に納品・資金調達・黒字で運営できるか』に変わった」
一方でRobertsは、AI需要の実態は堅調だと主張し、「公開市場で起きていることと顧客レベルで見えていることの間には乖離がある」とも述べた。IRENの直近四半期のAI収益は前四半期比で2倍超の2億ドルに達したと報告されている。
Microsoftが自社回帰に動く背景
ChatGPT登場時にはOpenAIはAzureのみを利用していたが、現在はAmazon、Cerebras、CoreWeave、Google、OracleにもAIワークロードを分散している。皮肉なことに、急拡大期に外部調達したGPUキャパシティの一部が今、コスト・納期・品質の面で問題を引き起こしている格好だ。
Microsoftの最高財務責任者Amy Hoodは10月の決算説明会で、GPU関連の一部クラウド契約が2027年上半期にずれ込んでいることを認め、Azure成長に影響が出ていると説明した。直近四半期の設備投資とファイナンスリースの合計は452億ドルに上り、今後は自社データセンター投資を加速させる方針だ。
CoreWeaveは2024年の売上の**62%**がMicrosoftからのものだったと上場時に開示しており、今回の方針転換がネオクラウド各社の収益に与える影響は大きい。AIインフラ投資の潮流やクラウド大手の戦略動向に関心のある読者は、Microsoftのクラウド・AI戦略に関するTechFeed関連記事や、NVIDIAのGPUクラウド展開に関する公式情報も合わせて参照されたい。
詳細はMicrosoft plans to use fewer neoclouds as AI buildout shows signs of strainを参照していただきたい。