11月4日、Dataconomyが「ChatGPT search volume reaches one-fifth of Google's」と題した記事を公開した。ChatGPTの検索クエリ量がGoogleの約5分の1に達したとOpenAIが明らかにしたという内容だが、算出根拠が示されていない点など、数字の読み方には注意が必要だ。
ChatGPTの検索クエリ量、Googleの5分の1に
OpenAIのコンシューマープロダクト責任者であるAdam Fryが月曜日のプレスイベントで明らかにしたところによると、ChatGPTの検索類似クエリ量は、Googleのクエリ量の約5分の1に達している。
ただし、Fryはこの比較に用いたデータソース、算出方法、対象期間については明示しなかった。
Googleは年間5兆回の検索を処理していると公表している。Fryの発言をそのまま当てはめると、ChatGPTのクエリ総数は相当大きな数字になるが、OpenAIはクエリの絶対数を公開していない。「Googleの5分の1」という表現は印象的だが、比較の前提条件が不明なまま提示されている以上、額面通りには受け取りにくい数字だ。
数字の読み方に注意が必要
OpenAIによれば、ChatGPTの週間ユーザー数は12億人。ただし、そのうち何人が情報検索目的で使用しているかは不明だ。コーディング支援、画像生成、文章作成など、ChatGPTの用途は多岐にわたるため、「検索クエリ相当」の数字がどの範囲を指すのかは曖昧なままだ。
週間12億ユーザーという数字も、検索ユーザーとそれ以外が混在しており、単純比較は難しい。OpenAIが「検索類似クエリ」をどのように定義し、どの操作をカウントの対象としているかが明らかにならない限り、Googleとの対比は参考値に留まる。
Pew Research Centerの調査では、米国成人の42%がAIを情報検索に使用したことがあると回答しており、AIの用途として最も多く報告されている。就業中の成人に限ると、38%が業務でAIを活用したと答えている。なお、同調査はChatGPT限定ではなく複数のAIサービスを対象としたものであり、ChatGPTの利用経験者は米国成人の**44%、GoogleのGeminiは24%**という結果だった。
Pew Research Centerは米国を代表する独立系調査機関であり、政治・社会・テクノロジー分野で広く参照される信頼性の高いデータを継続的に公表している。ただし、今回引用されている調査については実施時期・調査対象の規模・サンプリング手法などの詳細が元記事中で明示されておらず、数字の解釈には一定の留保が必要だ。
Googleは「ゼロサムゲームではない」と主張
AlphabetのCEO、Sundar Pichaiはかねてより「チャットボットサービスの拡大にもかかわらず、Googleの検索クエリ量は成長を続けている」と述べている。Pichaiは市場を「ゼロサムゲームからは程遠い」と表現し、TikTokがユーザーを増やした後もYouTubeが成長を続けた例を引き合いに出した。
一方でGoogleは、2022年11月にOpenAIがChatGPTを公開した直後、社内で「コードレッド(緊急警戒態勢)」を発令し、生成AIプロダクトの開発・展開を加速させた経緯がある。現在の楽観的なコメントとは対照的に、当時の危機感は相当なものだったことがわかる。その後GoogleはBard(現Gemini)を矢継ぎ早に投入し、検索結果へのAI Overview統合も進めてきた。楽観的な公式コメントの裏側で、プロダクト戦略は明らかにAI検索を強く意識した方向へシフトしている。
AI検索の現在地
今回の発表で注目すべきは、数字の出し方そのものだ。「Googleの5分の1」という表現は印象的だが、算出根拠が不明なまま提示されており、主張の強さに対して検証可能な情報が不足している。タイトルが問う「数字をそのまま信じていいのか」という問いに対して、現時点では「そのままは信じにくい」というのが正直なところだ。
ただし、Pew調査が示すようにAI検索の利用が米国成人の4割を超えているのは事実であり、検索市場の構造が変化しつつあることは複数のデータから読み取れる。ChatGPTが公開されてから約3年、AI検索は無視できない規模まで育ってきた。OpenAIが今後クエリの絶対数や定義を公開するかどうかが、この議論の信頼性を左右する次の焦点となるだろう。
詳細はChatGPT search volume reaches one-fifth of Google'sを参照していただきたい。