11月4日、Marie Haynesが「Google's Q3 2026 Earnings Call: Search & AI Are Merging Into One Unified Product」と題した記事を公開した。この記事では、GoogleのQ3 2026決算説明会においてAI Mode・AI Overviews・従来の検索が「一つの統合プロダクト」になると明言されたことについて詳しく紹介されている。
検索とAIが「一つの製品」になる——Googleが公式に宣言
決算説明会の中で最も重要な発言は、Googleの検索とAIが別々のプロダクトではなくなるという明確な宣言だ。
Sundar Pichai(CEO)は次のように述べた。
"We are building one seamless experience across AI Overviews, AI Mode, and Traditional Search."
Philipp Schindler(最高事業責任者)も同様に、
"We think of Search holistically, a unified product spanning traditional results and AI powered Search."
と語った。AI Mode・AI Overviews・従来の検索の3つが一体化するという方向性が、経営レベルで明文化されたことになる。
これはユーザー体験上の変化にとどまらない。SEOや検索連動型広告の設計において、「AI Modeのトラフィック」と「従来の検索トラフィック」を別々に考えるアプローチ自体が、Googleの公式見解と乖離し始めるということでもある。
株価急落の背景——広告収益の問題
決算自体は好調だった。AlphabetのYoY(前年同期比)収益は**+25%、Cloud収益は+103%**と大幅増だ。にもかかわらず、Alphabet株は決算後に急落した。
原因は検索広告の伸び率にある。検索広告収益はYoY **+12%と成長しているが、Wall Streetの期待値は+15%**だった。AI Modeでは現状、広告の掲載機会が従来の検索より少ない。その点が投資家の懸念を招いた形だ。
ただし、PhilippはAI Modeの広告展開について、
"Our approach is deliberate – prioritizing the user experience and engagement first, then scaling the formats."
と述べており、ユーザー体験を先行させてから収益化を拡大するという順序を明確にした。実際、AI Modeの広告はオーストラリア、カナダなど複数の国へ拡大中だ。
広告収益の短期的な鈍化は、この移行コストとも解釈できる。Googleが意図的にユーザー体験を優先している以上、伸び率の回復はフォーマット拡大の進捗次第となる。
エージェント検索の本格化と「Connected Apps Platform」
今回の決算説明会と同日、Googleは**Connected Apps Platform**を発表した。
これはMCP(Model Context Protocol)を介して、GeminiアプリまたはSearch内から外部アプリの機能を直接呼び出せる仕組みだ。発表時の例として、ユーザーが@Pelotonと入力することで、Pelotonアプリの機能をGeminiの対話フロー内で使える様子が紹介された。開発者向けの申請フォームもすでに公開されている。
Sundar Pichaiは2025年の時点で「検索はエージェントマネージャーになる」と述べていた。その構想が具体的なプロダクトとして動き出したと見ることができる。
Schindlerは次のように述べた。
"We are in the early stages of agentic experiences across our surfaces, and excited about the commercial opportunities ahead."
検索が「情報を見つける場所」から「ツールやエージェントを使って物事を実行する場所」へシフトする、というのがGoogleの描く方向性だ。Connected Apps Platformはその入口となるインフラであり、どれだけのアプリが統合されるかが普及速度を左右する。
Gemini 4 Carbonとコーディング能力の向上
モデル面では、Gemini 4 Carbonが近く公開される予定だ。Googleのモデル命名はArgon→Carbonという元素周期表の順を採用しており、CarbonはArgonの後継にあたる次世代モデルと位置づけられる。Gemini 4 Argonのリリースからわずか2週間後の発表で、現在はアメリカ政府の推奨に従い任意テスト中。モデル評価サービスArtificial Analysisでは、Carbonを現時点で最も知性の高いモデルとして評価している。

Pichaiはコーディング領域について、Gemini 3.8 Flashから「ステップ変化」が起きたとし、Gemini 4 Argonは「大きな変曲点」と表現した。
"It is one of the most meaningful internal productivity levers [they] have seen on software engineering, directly tracking high-quality code that's getting checked in, and the rate at which it's getting checked in."
さらにCarbonについては、「ArgonからCarbonは意味のある前進だ(meaningful step up)」と述べた。コーディング支援の質が継続的に向上しているという認識が、Googleの開発優先順位を反映している。
RSI(再帰的自己改善)による加速
Pichaiは今後12ヶ月について次のように述べた。
"I would expect the next twelve months to see continued acceleration because of RSI."
RSI(Recursive Self-Improvement:再帰的自己改善)とは、AIがAI自身の改善に使われるループ構造のことだ。AIがより良いAIを作るために使われることで、改善速度が指数的に高まる可能性がある。Pichaiがこの用語を決算説明会という公式の場で使ったこと自体、Googleの内部でこの概念が開発戦略の中核に据えられていることを示唆している。
また、AGI方面では**Genie 4**も発表された。ゲームや仮想シーンを生成するだけでなく、AIエージェントやロボットのトレーニング環境として使われる点が核心だ。
Geminiは10億ユーザー到達
Pichaiは「GeminiアプリはGoogle史上最速で成長した製品であり、現在10億ユーザーに達した」と述べた。なお、ChatGPTが10億ユーザーを報告したのは2026年6月のことで、数字の水準としては並んだことになる。
まとめ
今回の決算説明会でGoogleが示したのは、単なる製品ロードマップではなく、検索ビジネスの根本的な再定義だ。検索・AI・エージェント・外部アプリが一つの体験に統合されていく流れは、SEOや検索連動型広告に依存したビジネスモデルにとって直接的な影響を持つ。広告収益の短期的な鈍化は、この移行コストとも言える。Geminiの10億ユーザー到達、Connected Apps Platformの立ち上げ、そしてArgon→Carbonと続くモデル刷新が重なり、Googleの「AIファースト」戦略が言葉から実装へと移行した四半期として記憶されるかもしれない。
詳細はGoogle's Q3 2026 Earnings Call: Search & AI Are Merging Into One Unified Productを参照していただきたい。