10月30日、Search Engine Journalが「ChatGPT Ads Turns On Automatic Ad Changes By Default」と題した記事を公開した。OpenAIがChatGPT Adsの「クリエイティブエンハンスメント」機能をデフォルトONに切り替えたことで、広告主が明示的に設定を変更しない限り、広告テキスト・URL・画像がAIによって自動変更される状態になった。Google AdsやMeta Adsでも同様の自動最適化機能は導入されてきたが、ChatGPT Adsは2024年後半から広告配信を開始した比較的新しいプラットフォームであり、レポーティング機能やトラッキングの仕様がいまだ成熟途上にある。その段階でデフォルトONへの変更が行われた点が、広告主にとって実務上の大きなリスクとなっている。
広告主が知るべき「デフォルトON」の実態
元記事が公開された10月30日より、OpenAIはChatGPT Adsの全新規・既存キャンペーンに対し、「クリエイティブエンハンスメント」機能をデフォルトで有効化した。
この機能が有効になると、OpenAIの広告システムは以下を広告主の事前承認なしに自動で変更できる:
- ヘッドラインや説明文の書き換え・新規生成
- 広告テキストの他言語への翻訳
- 広告フォーマットに合わせた画像リサイズ
- クリック先のランディングページURL変更(広告主サイト内の関連ページへ)
変更のベースとなるのは「会話のコンテキスト」「既存の広告クリエイティブ」「ランディングページの内容」の3つだ。バリエーションは事前生成される場合も、会話中にリアルタイム生成される場合もある。
さらに、Ads Manager上ではすべてのバリエーションのプレビューが表示されない。つまり、実際にユーザーに配信されている広告を広告主が確認できないケースが生じる。機能自体はAds Managerの「Manage settings」からいつでもOFFにできるが、能動的にオプトアウトしない限りはデフォルトで適用され続ける点を認識しておく必要がある。
トラッキングへの影響が未定義
エンジニア・マーケター双方にとって見過ごせない問題がある。宛先URLが変更された場合、UTMタグなどのトラッキングパラメータがどう引き継がれるか、クリエイティブエンハンスメントのヘルプページには明記されていない。
OpenAIの広告作成ガイドでは、UTMタグを各広告の宛先URLに直接付与するよう案内している。静的パラメータはクリック時に保持されるとChatGPT Ads basicsページに記載されているが、クリエイティブエンハンスメントによってURLが書き換えられた場合の挙動については現時点で説明がない。
実務上の確認ポイントは以下の通りだ:
- ChatGPTからのクリックにUTMタグが付与されているか
- 変更後のランディングページが有料トラフィックを受け入れる設定になっているか
- ランディングページ上の価格・プロモーション・在庫情報が最新の状態か(システムがページ内容を参照するため)
なお、iOSのChatGPTアプリではアプリ内ブラウザがホスト名しか表示しないため、完全なURLを確認するには「リンクをコピー」機能を使う必要がある。
レポートと制御の現状
広告主はAds Managerの「Manage settings」からクリエイティブエンハンスメントをいつでもOFFにできる。アカウントレベルの設定がデフォルトとなり、キャンペーンレベルの設定が優先される。なお、10月30日以前にオプトアウト済みの設定はそのまま引き継がれる。
ただし、現時点のヘルプページはエンハンスメントを「1つの設定」としてしか説明しておらず、テキスト・翻訳・画像・URLを個別に制御するオプションは記載されていない。
レポーティング面では、キャンペーン・広告グループ・広告単位での報告は可能だが、エンハンスされた各バリエーションを個別に確認できるレポートは現時点で提供されていない。OpenAIはヘルプページ上で以下のように述べている:
「時間の経過による変化は、それ自体がクリエイティブエンハンスメントの効果を示すものではない。」
マルチ画像広告がオープンベータに
10月26日、OpenAIはAds Managerにマルチ画像広告フォーマットをオープンベータとして追加した。4〜6枚の正方形画像(アスペクト比1:1)を使用し、リーチ・クリック・コンバージョンの各目標に対応した標準キャンペーンで利用できる。現時点でCTAは「Learn more」のみ対応。各画像のリンク先は同一URLとなる。
クリエイティブエンハンスメントがマルチ画像広告に適用されるかどうかは、10月30日時点のヘルプページには記載がない。
まとめ
ChatGPT Adsはまだベータ段階にあり、OpenAIはメトリクスやレポーティング機能の拡充を予定している。クリエイティブエンハンスメント自体はオプトアウト可能な機能だが、デフォルトONへの変更によって、設定を意識的に管理しない広告主は意図しないクリエイティブが配信される状態に置かれた。加えて、URL書き換え時のトラッキング挙動が未定義のままである点、エンハンスされた各バリエーションを個別に確認できるレポートが存在しない点は、現時点でのプラットフォームとしての成熟度を示している。ChatGPT Adsを運用している、あるいは検討している広告主は、まずAds Managerの設定を確認し、クリエイティブエンハンスメントのON/OFFを意図的に選択した上でキャンペーンを管理することが求められる。
詳細はChatGPT Ads Turns On Automatic Ad Changes By Defaultを参照していただきたい。