10月30日、Futurismが「Google Starved Out Publishers With AI Search. Now, Its Pivot Is Blowing Up in Its Face.」と題した記事を公開した。GoogleのAI検索機能が従来の広告モデルより収益性が低いと判明し、親会社AlphabetのGOOGL株が急落した経緯について詳しく紹介されている。
GoogleのAI Modeが自社の広告収益を食い始めた
GoogleはAI検索機能の普及によって出版社・メディアのトラフィックを激減させてきたが、今度はその矛先が自社に向いた。
10月28日の決算発表後、親会社AlphabetのGOOGL株は11%超下落し、時価総額が5,000億ドル以上消失した。
Q3の売上自体は前年比25%増の1,276億ドルと悪くない数字だ。しかし設備投資額が前年比2倍超の514億ドルに膨らんでおり、AI投資が重くのしかかっている。
問題の核心は検索広告収益の鈍化にある。Q3の検索広告収益は前年比12%増の633億ドルだったが、前年同期の14.5%増からは明確に減速している。しかもGoogleの検索クエリ数は過去最高を記録しているにもかかわらず、だ。
GoogleのChief Business OfficerであるPhilipp Schindlerは決算説明会でこの矛盾を認めた。「AI Modeにおける収益化率の低下」が原因だと述べている。AI Modeとは、従来の「10本の青いリンク」を並べるのではなく、チャットボット形式で回答を生成するGoogleの新しい検索体験を指す。ユーザーの質問に対してAIが直接回答を生成するため、広告が掲載される従来型の検索結果ページへの誘導が減り、クリック単価ベースの広告収益が生まれにくい構造となっている。
AI検索拡大がもたらした構造的なジレンマ
この状況が生まれた背景は明確だ。
2022年末にChatGPTが爆発的に普及すると、「チャットボットが従来の検索エンジンを代替するのでは」という懸念がGoogleに向けられた。毎年数百億ドル規模を稼ぐ検索広告ビジネスへの脅威である。
Googleはこれに対抗すべく、AI Overviewsをはじめとする独自のAI検索機能を開発・統合した。ところがAI Overviewsは誤情報を含むことで悪名高く、複数の研究がAI Overviewsによってクリックスルー率が著しく低下したことを示している。ユーザーはAIが生成した要約を読むだけで、元の情報源となるWebサイトへのアクセスをやめてしまったからだ。
その結果がメディア業界を直撃した。Axiosのデータによれば、主要ニュースサイトの月間訪問者数はAI Overviews登場の2024年7月の7,000万人超から、2026年7月には4,700万人超まで激減した。Reuters Instituteの調査に回答したメディア幹部たちは、今後3年でWebトラフィックがさらに半減すると予測している。
Googleはこうして出版社の広告収益を枯渇させておきながら、自社も同じ問題に直面した。AI Modeは検索クエリを増やしても、従来型の検索広告ほど収益を生まない。Webサイトが消えていけば、そこに掲載していた広告も消える。
Googleは「まだ稼げる」と強気の姿勢
Schindlerはこの状況に対し、楽観的な見通しを示している。
「AI Modeのクエリの多くはファネルの上位(※購買や意思決定に至る前の情報収集段階)に位置するクエリであり、新たな高価値な商業的インテントを捕捉できる。さらにAI Modeのクエリの大半はインクリメンタル(※従来の検索では発生しなかった追加的なもの)であり、長期的により多くの収益化機会を生み出す」と述べた。
つまり、AI Modeはまだ収益化の最適化途上であり、今後挽回できると主張している。ただし、その収益の源泉となるWebサイト群が存続しているかどうかは別の話だ。
詳細はGoogle Starved Out Publishers With AI Search. Now, Its Pivot Is Blowing Up in Its Face.を参照していただきたい。