10月26日、Newton Gitongaが「Reddit's r/opensource bans AI-made and AI-focused projects, also bans non-English speakers」と題した記事を公開した。Redditで最大規模のオープンソースコミュニティ「r/opensource」(登録者約270万人)のモデレーターが10月24日に大規模なルール改定を発表し、開発者コミュニティに波紋が広がっている。
新ルールが問題視される理由は、その射程の広さにある。AIで構築されたプロジェクト、AIを利用するプロジェクト、AI向けソフトウェアを一律に禁止しただけでなく、英語を母語としないユーザーへの事実上の排除と、ソロ開発者を狙い撃ちにする要件が盛り込まれた。「9年間メンテし続けてGitHubで300スターを持つ自分のプロジェクトが、コントリビューターが1人しかいないというだけで除外対象になる」という声が開発者から上がるなど、反発は大きい。
何が禁止されたのか
新ルールでは、投稿できるプロジェクトに以下の条件が課された。
- 少なくとも1年間継続してメンテナンスされていること
- 複数のコントリビューター(貢献者)がいること
- 既存のコミュニティが存在すること
- OSI認定のオープンソースライセンスを使用していること
ノート取りアプリやPDFビューアといった学生の習作プロジェクトも除外対象となり、メンテナーや追加コントリビューターの募集投稿も禁止された。投稿者のRedditアカウントにも1年以上の活動履歴と一定の貢献実績が求められる。
モデレーターの声明は率直だ(以下、原文からの意訳)。
「AIをプロジェクトで使っていることが明らかなら、ここには要らない。トークンは安いし、あなたの素晴らしいプロジェクトに何トークン使ったかなど興味ない」
非英語話者への排除が「disgusting」と批判される
とりわけ批判が集中しているのが、英語を母語としないユーザーへの対応だ。モデレーターは「AIが書いた英語とAIが翻訳した英語を確実に見分けられない」という理由で、英語を話さないユーザーに対して別のコミュニティを探すよう求めた。あるコメント投稿者はこの扱いを「disgusting(嫌悪感を覚える)」と表現している。
反発を受け、Redditユーザーのu/esk6playsが対抗コミュニティ「r/TrueOpenSource」を立ち上げた。r/opensourceのモデレーターも発表を編集してこのコミュニティの存在に言及し、新ルールで影響を受けるユーザーの受け皿になり得ると認めている。コミュニティが実質的に分裂した形だ。
「複数コントリビューター」要件がソロ開発者を直撃
AI禁止と並んで批判を集めているのが「複数コントリビューター」の要件だ。あるデベロッパーは、9年間継続してきた自身のプロジェクトがGitHubで300以上のスターを持ちながら、コントリビューターが1人しかいないためにAI不使用でも除外対象になると訴えた。
Linuxカーネルのような巨大プロジェクトが新ルールに抵触しないかという疑問も上がったが、モデレーターのWolverenessは「カーネルは最低要件を満たす」と回答しつつ、「明らかにAI生成かどうかの判断はモデレーターの主観による」と認めた。基準の恣意性を事実上容認した発言であり、これ自体も批判の対象になっている。
Linuxカーネルは真逆のアプローチ
r/opensourceがAIを全面排除する方向に舵を切る一方、Linuxカーネルプロジェクトは対照的な方針を取っている。2025年4月、AIを使ったコード貢献を正式に認めるルールを整備し、AI関与を示す「Assisted-by」タグの使用と、人間のコントリビューターがコードおよびバグ・セキュリティ問題に責任を持つことを条件とした。Linus TorvaldsもかねてよりツールとしてのAI活用に否定的でなく、「AIは他のツールと同じツールだ。そして明らかに有用なものだ」と述べている(Tom's Hardware記事内で引用)。
OSSコミュニティ全体に広がる「AI疲れ」
AIコンテンツへの規制はr/opensourceだけではない。r/programmingでは2024年4月に大規模言語モデル(LLM)関連の投稿を一時全面禁止し、5月には深い技術的議論を除いてAI・LLMコンテンツをオフトピック扱いにするルールへ移行した。
オープンソースプロジェクト側でも、GentooやNetBSDがAI生成コードの貢献を制限している。cURL、tldraw、Node.js、OCamlといったプロジェクトでは、品質が疑わしいAI生成のバグレポートや大規模パッチへの対応に追われるメンテナーの負担増が顕在化しており、開示義務と人間によるレビューを求める声が高まっている。
こうしたコミュニティ側の「AI疲れ」とは対照的に、OpenAIは「Codex for Open Source」プログラム——対象のOSSメンテナーにChatGPT ProやAPIクレジットを無償提供してAIコーディングツールの活用を促す取り組み——を通じて普及を図っている。取り込みたい側と距離を置きたい側の綱引きは、OSSコミュニティにおいて当面続きそうだ。
詳細はReddit's r/opensource bans AI-made and AI-focused projects, also bans non-English speakersを参照していただきたい。