10月22日、The Driveが「GM Just Laid Out Its Entire Future. It Runs on AI, Eyes-Off Driving, and One Central Computer」と題した記事を公開した。GMがニューヨークで発表した中長期戦略の全体像を伝えるもので、現在4〜5年かかる車両開発期間をAIによって半減できるという主張が目を引く。AI・集中型電気アーキテクチャ・自動運転という三本柱が、2028年以降のGM製品をどう変えるのかを詳述している。
開発期間を半分に短縮するAI活用
今回の発表で最もエンジニア視点で興味深いのは、車両開発プロセスへのAI統合だ。
GMのChief Product Officer(※元記事での肩書き表記)、Sterling Andersonによれば、現在4〜5年かかっている車両開発期間をAIにより半減できるという。具体的な数字も示された。
- 空力テスト:従来60時間 → AIで60秒
- 構造解析:従来数ヶ月 → 数時間
これを支えるのはGMが数十年にわたって蓄積してきた走行・設計・製造データだ。Andersonは「GMのスケールとデータは足かせではなく強みだ。小規模なプレイヤーはモデルを作れても、このデータ量には敵わない」と述べた。
設計・エンジニアリング・テスト・製造の効率化によるコスト削減が期待されるが、CEOのMary Barraはそのメリットが消費者価格に反映されるかという質問に明言を避け、「すでに3万ドル以下で利益を出して販売している車種が多数ある」と述べるにとどめた。
1台の中央コンピュータで全システムを統括
現代の自動車は80〜100以上のECU(電子制御ユニット)を搭載しており、OTA(Over-the-Air)ソフトウェアアップデートの複雑さが業界共通の課題となっている。GMはこれに対し、ECUを1台の中央コンピュータに集約する構成を発表した。
この新アーキテクチャの仕様は以下のとおりだ。
- 配線量を30%削減
- 処理能力は現行比40倍(ノートPC40台分相当)
- レイテンシの低減とOTA更新の柔軟性向上
2028年型Cadillac Escalade IQを皮切りに、フルサイズトラック・SUV(ガソリン・電動問わず)へと展開される予定だ。
※編集部の考察:自動車業界全体でECU集約によるソフトウェア定義車両(SDV)への移行が加速しているが、GMが既存のガソリン車系譜も含めて同一アーキテクチャで展開する点は注目に値する。
OnStar、AIアシスタントとして全面刷新
**OnStar**(GMが1996年から提供する車載テレマティクスサービス)が、AIアシスタントとして生まれ変わる。
今年後半に2027年型Cadillac LYRIQから順次導入される車内OnStar AIは、車両のサブシステムと深く統合される。自然言語で「さっきの警告音は何だったの?」と話しかけると、車両が該当のアラートを解説する仕組みだ。従来の「ライブオペレーター接続」機能は引き続き残る。
来年には、Chevrolet・Cadillac・Buick・GMCそれぞれのスマートフォンアプリを統合した新OnStar モバイルアプリがiOS/Android向けにリリースされる。家族の複数車両を一括管理でき、カレンダー連携でエンジン遠隔始動なども可能になる。
視線不要の自動運転と次世代EV
2028年型Cadillac Escalade IQには、現行の**Super Cruise(ハンズフリー運転支援)を発展させたアイズオフ(視線不要)自動運転システム**も搭載される。走行中に映画を観たりメールを書いたりできるレベルを目指す。
次世代EVについてはロードマップの公表を避けたが、スポークスパーソンが2028年に開発開始予定と漏らした。新しい短縮開発サイクル(2〜2.5年)を当てはめると、2030年前後に初の次世代EVが登場する計算になる。バッテリーはLFPよりエネルギー密度が33%高いLMR(リチウムマンガンリッチ)を採用し、モーターは現行Ultiumプラットフォームより部品点数を40%削減、航続距離はkWhあたり20%向上する見込みだ。
AutoPacificの産業分析ディレクター、Paul Waattiは「示された技術は印象的だが、GMの場合は歴史的に見て実行力が問われる」とThe Driveに語っており、発表内容の実現可否は今後の製品展開にかかっている。
詳細はGM Just Laid Out Its Entire Future. It Runs on AI, Eyes-Off Driving, and One Central Computerを参照していただきたい。