10月21日、Nathan Lambertが「Latest open artifacts (#25): DeepSeek V4.1 Flash 1017, American-made models, and new regulatory controls in the US & China」と題した記事を公開した。DeepSeekが社内推論スタックを外部公開するという異例の動きと、米中両政府によるオープンウェイトAIへの規制強化が同時進行するなか、国産オープンモデルの存在感も増しつつある——今週のオープンAI動向を横断的にまとめた週次レポートだ。
米中両政府がオープンウェイトAIを規制の射程に入れ始めた
今週最も見逃せない動きは、モデルそのものではなく、その周辺の規制環境だ。
中国側では、商務部(MOFCOM)がフロンティアAIモデルを含む特定技術について、国際的な共有前に政府の事前承認を義務付ける政策提案を公表した。ただし記事によれば、オープンソース技術については自動承認の枠組みが設けられる見通しで、「DeepSeekが明日から輸出できなくなる」という過剰反応は的外れだと筆者は指摘する。むしろこの提案の実質的な狙いは、AI新興企業Manusの西側企業への売却を阻止しようとした件のような、中国テック資産の流出防止にある可能性が高い。
米国側では、国土安全保障省(DHS)がDeepSeek社およびそのモデルを連邦政府の民間調達ベンダーから除外する命令を公表した。問題はその射程で、DeepSeekのモデルを学習データに使ったモデル(NVIDIAのNemotronシリーズは長年DeepSeekの出力を学習レシピに組み込んでいる)が対象に含まれるかどうかは現時点で不明だ。なお中国のZhipu AI(GLMの開発元)はすでに商務省のエンティティリストに掲載されており、米国技術へのアクセスが制限されている。
こうした規制の動きと同時期に、DeepSeekは社内推論スタック**DeepInferをオープンソースとして公開した。vLLMやSGLangといった既存の推論フレームワークより大幅に効率的とされており、推計ではこのスタックを使ったトークン販売のグロスマージンが最大90%**に達するという。トップAIラボが社内に高効率な推論ツールを抱えていることは業界の公然の秘密だったが、それを外部公開したのはDeepSeekが初めてだ。推論サービス各社がこのツールを採用すれば、エコシステム全体でDeepSeekモデルのトークン単価が下がるか、逆にマージンが拡大するかのどちらかに動く。
今週のモデル:DeepSeek V4.1 Flashが性能対価格比でトップに
DeepSeek-V4.1-Flash-1017(552B-A16B、画像入力対応)は、アジェンティックなソフトウェアエンジニアリングベンチマーク「DeepSWE」において性能対価格比でトップに立っている。ライセンスはMITで、業界全体でカスタムかつ制限的なライセンスが増加するなかで、この選択は際立つ。
米国産オープンモデルの反撃
規制強化を受け、国産オープンモデルへの注目が高まっているが、今週はその文脈で注目すべきリリースが複数あった。
Beam-1.0-501B-A23B(Reflection製、Apache 2.0)は「パーミッシブライセンスの米国産オープンモデルとして最強」と評されている。絶対的な性能では最上位ではないが、トークン効率は元記事中で言及されているGPT-6-Astra(OpenAIの次世代モデルとみられる)に次ぐ2位とされており、ポストトレーニングパイプラインの成熟度を示している。
**NVIDIA-Nemotron-3.5-Super-VL-120B-A12B-NVFP4**はNemotronファミリーの中規模モデルで、RTX Sparkなど高性能ラップトップでのローカル実行が可能。NVIDIAは学習データの大部分と詳細なテクニカルレポートも公開している。
その他の注目リリース
**MiMo-V2.6-Pro-RL**(Xiaomi):同じベースモデルを使いながらRLトレーニングのリソースを大幅増強。Artificial AnalysisのオープンモデルランキングでV2.6-Proが現在1位。ライブダッシュボードでトレーニング過程を公開したことも話題になった。
**clef**(Cloudflare):スタートアップTypesafeが提唱した「Decision model」(少数トークンと確率値を出力する汎用分類モデル)の概念をオープン実装したもの。
**Muse-Spark-Open-816B-A42B**(META):METAがMuseのオープン版をリリース。詳細は別記事で解説されている。
**Ling-3.0-flash-VL-fp4**(Ant Group):124B-A5.5Bの視覚言語モデル。Ant Groupが継続的にモデルを投入している。
なお、Kimi K3.1のリリースが間近である可能性が示唆されており、公開ライブラリにメタデータが出現し始めているという。
詳細はLatest open artifacts (#25): DeepSeek V4.1 Flash 1017, American-made models, and new regulatory controls in the US & Chinaを参照していただきたい。
