10月16日、Digit.inが「Muse Spark Open: Open weights with a new model built for coding and AI agents」と題した記事を公開した。コーディングとAIエージェント向けに設計されたオープンウェイトモデル「Muse Spark Open」の概要と、Appleシリコンを使ったローカル実行の可能性について紹介している。
なお、元記事はMeta公式サイトではなく第三者メディアDigit.inによる報道であり、「Muse Spark Open」「Muse Spark」「Muse Code」「Muse Model License」「Meta Superintelligence Scaling Framework」といったプロダクト名はMetaの既知ブランドとは異なる。これらの名称が正式なMetaのプロダクト名であるか、元記事の表記ゆれ・別ブランドの可能性もある点には留意されたい。以下の内容は元記事の記述に基づく。
816Bパラメータ、ただし常時稼働は42B
コーディング支援やAIエージェントの実用化が加速する中、今回公開されたMuse Spark Openは「自社ホスティングなしに強力なモデルをそのまま使いたい」という開発者の需要に応えようとしている点で注目に値する。
元記事によれば、Muse Spark Openの開発元は「米国最強のオープンウェイトモデル」と謳っているが、そのベンチマークは開発元自身が実施したものであり、独立した検証ではない点は留意が必要だ。
アーキテクチャとしてはMixture of Experts(MoE)を採用している。総パラメータ数は816Bだが、1トークンあたりに実際に動作するのは42Bパラメータのみだ。推論コストを抑えながら大規模なモデルを運用するための設計であり、MoEは近年のLLMで広く採用されているアプローチである(※MoEの詳細についてはHugging Faceの解説も参照)。コンテキストウィンドウは100万トークンで、長文書や複数ステップにわたるタスクへの対応を想定している。
元記事が強調するユースケースはチャットではなく、ソフトウェアエンジニアリングや多段階推論のような「長期タスク」だ。関連アプリ「Muse Code」を用いたデモでは、MastodonクライアントアプリへのiOSバグ修正と新機能追加を含む実際のビルドを実施。また、DaVinci Resolveと連携して映像をフレーム単位でレビューし、縦動画用にベストカットをクロップする処理も実演したという。
Mac Studio 2台でローカル実行——「自宅で動く」の実態
今回の発表で最も話題を呼んでいるのが、Appleシリコンを搭載したMac Studio 2台によるon-device実行という構成だ。元記事にはM5 Ultraチップの使用と記載されているが(※本稿執筆時点でAppleが公式発表しているのはM4 Ultraまでであり、元記事記載のスペックとして参照されたい)、2台合計で512GBのユニファイドメモリと1.2TB/sのメモリ帯域幅を確保し、2台が1台のコンピュータとして協調動作する構成となっている。フレームワークはAppleが開発したML向けフレームワーク「MLX」を使用している。
「自宅でも高度なモデルが動く」という訴求は魅力的だが、元記事はその点に正直だ。Mac Studio 2台分のコストはワークステーション並みであり、「自宅」といっても相応の資金が前提になる。

元記事掲載のベンチマーク比較表。具体的なスコア値については元記事の画像を直接参照されたい。
どこで動かせるか
ホスト型APIはすでに複数のプラットフォームで稼働している。
- Baseten、Fireworks AI、Groq、Modal、Nebius、OpenRouter、Together AIでAPIとして利用可能
- 事前学習済みウェイトはHugging Face、Amazon SageMaker AI、Google Cloud Model Garden、Microsoft Foundry Modelsからダウンロード可能
- 推論ランタイムとしてSGLang、vLLM、TensorRT-LLM、Hugging Face Transformers、Apple MLX、llama.cpp、Unslothに対応
- ハードウェア最適化はAMD、Apple、Intel、NVIDIAのチップに提供
SGLang向けに独自のHelion GPUカーネルが提供されており、NVIDIA・AMD GPUでカーネル単体のパフォーマンスが1.03〜3.95倍向上したとしている。ただし、AMD MI350 GPUでのエンドツーエンドの速度向上は**3%**にとどまり、スライド上の数字ほどインパクトは大きくないとも指摘されている。
「オープン」に付くアスタリスク
ウェイトはMuse Model Licenseのもとで公開されているが、商用利用には制限がある。「多くの開発者は無償で利用できる」と説明されているが、全員ではない。また、ウェイトは公開されているがソースコードは非公開だ。プロダクトへの組み込みを検討する場合はライセンスの精読が必要である。
安全性については、学習後に追加の安全機構を導入し、「Meta Superintelligence Scaling Framework」と呼ばれるフレームワークでテスト済みだとしている(※この名称もMetaの既知の公式名称とは異なるため、元記事の表記に基づく情報として参照されたい)。モデルカードはHugging Face上で公開されており、詳細な評価レポートは近日公開予定とのことだ。
詳細はMuse Spark Open: Open weights with a new model built for coding and AI agentsを参照していただきたい。