10月17日、The Decoderが「Google's Gemini 4 Argon is closer to the AI frontier than any Google model in months」と題した記事を公開した。GoogleのGemini 4 ArgonがARC-AGI-3ベンチマークで97.5%を達成し、OpenAIに続いてGoogleが95%超えを記録したことについて詳しく紹介されている。
ARC-AGI-3で97.5%——95%超えはOpenAIに続き世界2社目
Google DeepMindの新フロンティアモデルGemini 4 Argonが、ARC-AGI-3ベンチマークで97.5%を記録した。コストは$4,800で、使用したのは「Provider Adapter Harness」と呼ばれるテスト環境だ。これはベンダー固有の機能——推論の保持(Retained Reasoning)やコンテキスト圧縮(Context Compaction)——を活用できる設定である。
なお、Gemini 4 Argonは、Googleが2026年にリリースしたGemini 4ファミリーの中間モデルに位置付けられる。フラッグシップのGemini 4 Ultraと、軽量・高速なFlashシリーズの間に位置し、性能とコストのバランスを重視した設計となっている。
ARC-AGI-3は、汎用問題解決能力を測る現時点で最難関とされるベンチマーク(ARC Prizeが運営)で、95%超えを達成したのはOpenAIに次いでGoogleが世界2社目となる。現時点の最高スコアはGPT-6 Astraの**99.9%**だ。

25の公開ゲームを通じて、Gemini 4 Argon(黄)とGPT-6 Astra(青)はいずれも人間ベースライン(紫)より62%少ないアクション数でタスクを完了した。Argonは3つのゲームでスピードランレコードに並ぶか上回り、さらに6つのゲームでレコードの10%以内に迫った。
旧バージョンのスコアも公開されており、ARC-AGI-2では**91.3%(タスク単価$0.32)、ARC-AGI-1では98.5%**(タスク単価$0.16)となっている。価格は入力100万トークンあたり$2、出力100万トークンあたり$10の導入価格に基づく。
スコアはテスト環境に大きく左右される
ただし、このスコアを額面通りに受け取るのは注意が必要だ。
ここで理解しておきたいのが、「Provider Adapter Harness」と「Standard Harness」の違いだ。Provider Adapter Harnessは、モデルのAPIが提供するベンダー固有の拡張機能——推論状態の保持やコンテキスト圧縮——を有効にした状態でテストを行う環境である。対してStandard Harnessは、ラウンド間でシンプルなメモしか許可しない、いわばAPI横断で公平に比較できる制限環境だ。両者の差はスコアに直接影響するため、数字を比較する際にはどちらの環境で計測されたかを確認することが重要となる。
Standard Harness環境では、Argonのスコアは低推論設定で**49.8%(コスト$5,800)まで急落する。この乖離の背景には、2026年7月のOpenAIとAnthropicの間で起きた論争がある。OpenAIがGPT-5.6 SolでARC-AGI-3のOpus 5超えを主張した際、Standard Harness下でのGPT-5.6 Solのスコアはわずか7.8%だった。一方でOpenAI独自のResponses API(Retained ReasoningとContext Compaction有効)を使うと38.3%**まで跳ね上がり、Opus 5の30.2%を上回った。
この経緯を受け、ARC PrizeのFrancois Cholletは「一般に公開されているAPIの設定であれば使用を認める」という方針を打ち出した。今回のArgonのProvider Adapter Harnessでのスコアも、その枠組みに沿ったものだ。
Standard Harnessでは、APIの問題でArgonは55ゲーム全てを完走できなかった点も留意が必要だ。低推論では42ゲーム(49.8%)、中推論では46ゲーム(46.3%)を完了。最高推論設定では19ゲームしか完了できなかったためスコア自体が非公開となっている。報告されているスコアは、未完了ゲームの部分点を含む形で55ゲーム全体をカバーしている。
総合指標では首位に肉薄——ただし数学・コーディングは課題
AIの能力を50以上のベンチマークで総合評価するEpoch AIのECI(Epoch Capabilities Index)では、ArgonはFable 5.1と並ぶ165点を記録。Opus 5.5の167点、GPT-6 Astraの166点にわずかに及ばないが、Gemini 3.8 Flashの157点から大きく改善した。
ECIは単一ベンチマークでは捉えられないモデル全体の総合能力を測る指標であり、ARC-AGI-3のような特定タスク特化の評価とは異なり、実用上の幅広い性能を把握するうえで有用だ。

Epoch AIによると、このスコアは2026年2月のGemini 3.1 Pro以来、GoogleがAIフロンティアに最も接近した結果だという。Artificial AnalysisとVals.aiも同じ傾向を確認している。
ドメイン別では明暗が分かれる。Argonは知識系・エージェント系・ビジョン系の複数ベンチマークでトップに立つ一方、数学ECIでは8位、ソフトウェアエンジニアリング指数(SWE ECI)では6位にとどまる。コーディングや数学の精度を重視するユーザーにとっては、まだ選択肢の一つにとどまる水準だ。
詳細はGoogle's Gemini 4 Argon is closer to the AI frontier than any Google model in monthsを参照していただきたい。