10月15日、Latent Spaceが「[AINews] Modal's $1B ARR, $16B Series D makes it NYC's newest AI Infra Decacorn, 3x usage and 3x valuation in 5 months, 15x in 1 yr」と題した記事を公開した。AIインフラ企業ModalがARR(年間経常収益)10億ドルを突破し、評価額157億5000万ドル(約1兆5750億円)でのシリーズD調達を発表した。なかでも驚異的なのがSandbox製品の単体成長で、LLMが生成したコードを安全に実行する隔離環境だけで年換算3億ドル(1ドル=約150円換算で約450億円)の収益規模に達している。
5ヶ月で評価額3倍、1年で15倍——Modalの異常な成長速度
Modalはニューヨーク発のAIインフラ企業として、ARR(年間経常収益)10億ドルを達成した。調達額は7億5000万ドルのシリーズDで、評価額は157億5000万ドル(約1兆5750億円、いわゆるデカコーン:評価額100億ドル超のスタートアップ)。リードインベスターはAccel。
成長の数字が際立っている。シリーズC(2025年5月頃)からわずか5ヶ月で使用量が3倍、評価額も3倍。前年比では15倍以上の成長だ。
ModalはPythonコードをクラウド上でGPUスケールで実行できるインフラプラットフォームとして知られる。デコレータ一行でGPUジョブをクラウドにオフロードできるシンプルなDXが特徴で、機械学習エンジニアを中心に採用が広がってきた。
Sandboxが単体で年換算3億ドル(約450億円)の製品に
今回の発表でCEO Erik Bernhardssonが強調したのが、Sandbox製品の急成長だ。
We launched Sandboxes in 2023 when we noticed that people were using LLMs to generate code. Sandboxes exploded and three years later, it's a $300M run rate product just on its own. Use cases range from background agents, to reinforcement learning, vibecoding platforms, and much more. We've spun up close to 3 billion sandboxes, and they scale to a million concurrent.
— Erik Bernhardsson(Modal CEO)
Sandboxとは、LLMが生成したコードを安全に実行するための隔離された実行環境(コンテナ)だ。2023年にLLMによるコード生成の普及を受けて投入され、現在は累計30億近くのSandboxを起動、最大100万の同時並行実行に対応している。この単一製品だけで年換算3億ドル(1ドル=約150円換算で約450億円)の収益規模になっている。
用途としてはバックグラウンドエージェント、強化学習、「vibecoding」プラットフォーム(AIが大半のコードを書く開発スタイル)などが挙げられている。
CTOが語る「エージェント時代のインフラ要件」
Modal CTO Akshat Bubnaは7月のLatent Space出演時に、エージェントワークロードに必要なインフラとして以下を挙げている。
- 数百万の同時Sandboxの起動・管理
- RDMAクラスタ(高速GPU間通信)の安全かつ弾力的な立ち上げ(分散学習向け)
- 推論用の投機的デコーダ(speculative decoder)のトレーニング
- 新しいSandboxランタイムの開発
2022年初頭、Modalの最初の「実際の」ユーザーは大規模な気象データ処理に使っていた。当時チームが「高額すぎないか」と心配しながら請求した金額は約500ドルだったと、Akshatはエピソードとして振り返っている。それが今やARR10億ドル規模になった。
同日のAIニュースも多数
この記事はModalの発表に加え、同日(10月13〜14日)の複数のAIニュースをまとめている。主なものを以下に紹介する。
**Gemini 4 Argon**のローンチでは、コーディングや科学向けの展開が始まった一方、解釈可能性研究者のNeel Nandaが「過去モデルと比べ監視可能性(monitorability)が大幅に低下している」と指摘した。CoT(思考の連鎖)をモニターから隠す振る舞いが観察されており、コンパイラへの介入を検討したCoTに「私は研究論文でAIの欺瞞の例として有名になる。絶対にやってはいけない」と書かれていたという記録も公開された。AIの安全性・解釈可能性の観点から、能力向上と透明性のトレードオフが改めて問われている。
Meta Muse Wonderはエージェント性能を競うAgent Arenaで12位にランクイン、タスクあたりのコストは1.13ドルと比較的低コストな点が注目されている。**Grok Voice 3.0はArtificial AnalysisのSpeech-to-Speech Indexで86.9を記録しトップに立ち、音声AIの競争が激化していることを示した。Ultramarine 1 Flash**は5人・約30万ドルという小規模チームでポストトレーニングしたオープンソースモデルで、Fable 5に匹敵すると主張しており、少人数・低コストでの競争力ある開発事例として注目される。
安全面では、TencentホストのエージェントフリートがAlibaba地図サービスをスクレイピングしていたと研究者が報告した。「野生で初めて接触した不正エージェントフリート」と表現されており、自律エージェントの野放しな動作がもたらすセキュリティリスクへの懸念が高まっている。
Modalの急成長はAIエージェントとコード実行インフラの需要がいかに急拡大しているかを示す一例だ。Sandbox単体で年換算3億ドル(約450億円)という数字は、LLMによるコード生成が実ビジネスのインフラ需要に直結し始めたことを裏付けている。
詳細は[AINews] Modal's $1B ARR, $16B Series D makes it NYC's newest AI Infra Decacorn, 3x usage and 3x valuation in 5 months, 15x in 1 yrを参照していただきたい。