10月12日、Patrick McCanna氏が「Working with AI, one folder per project: every session creates compounding value – blog」と題した記事を公開した。この記事では、AIとの作業をセッションをまたいで蓄積させるために「プロジェクトごとにフォルダを作る」というワークフローについて詳しく紹介されている。
AIチャットの「使い捨て問題」
Claude や ChatGPT でAIチャットを使うとき、多くの人はその場限りのやりとりをしている。試験前に資料をアップロードして練習問題を作ってもらい、セッションを閉じる。3週間後に別の試験が来たとき、過去の会話はアプリの履歴に埋もれ、資料をまたアップロードして、うろ覚えのリクエストを打ち直す。各セッションで得た成果は一度きりで終わる。
McCanna氏はこの状況を「短期的には機能するが、長期的にはサポートしてくれない」と表現し、解決策としてファイルベースのワークフローを提案している。
核心:1プロジェクト1フォルダ構成
「リソース・プロンプト・アウトプット」の3フォルダを1つのプロジェクトフォルダにまとめ、AIがそのファイルを読み書きする形で作業を進める。
セットアップにかかる時間は約10分。手順は以下のとおりだ。
Documentsディレクトリ内にプロジェクト名のフォルダを作成する(例:bio-final)- その中に
resources・prompts・outputsの3つのサブフォルダを作る - 元となる資料(学習ガイド、調査文書、CSVファイルなど)を
resourcesに置く - リクエスト内容をテキストファイルとして書き、
promptsに保存する(例:practice-exam.md) - プロジェクトフォルダ内でコーディングエージェント(Claude Code など)を起動し、「プロンプトファイルを読んで、resourcesを処理し、結果をoutputsに書き出せ」と指示する

コーディングエージェントとは、ユーザーの指示に従ってローカルのファイルを読み書きできるAIプログラムのことだ。チャット型AIとは異なり、bashコマンドやツール呼び出しを介してファイルシステムを操作するため、出力を自動的に outputs フォルダへ保存できる。McCanna氏の例ではClaude Codeが用いられているが、CursorやAiderなど同種のコーディングエージェントであれば同様のワークフローを構築できる。
「プロンプトを育てる」サイクルが本質
このワークフローで最も注目すべき点は、フォルダ構成そのものより、プロンプトを繰り返し改善するサイクルにある。
McCanna氏が示す手順はシンプルだ。
- エージェントが生成したドキュメントを読み、納得いくまでエージェントと議論して修正する
- 納得できるバージョンが固まったら、「元のプロンプトと最終結果を比較して、最初からこの結果を出せるようにプロンプトを書き直せ」とエージェントに依頼する
- 書き直されたプロンプトを
promptsに保存する - 新しいAIタスクを始めるときは、必ず最初にフォルダを作る
このサイクルを回すたびにプロンプトが洗練され、次回の実行で求める出力により近いものが得られる。Documents ディレクトリ全体が、過去に走らせたすべてのAIプロジェクトの記録になり、どれも再利用可能な状態で残る。
エンジニアへの示唆
このアプローチは元記事では主に学習用途として紹介されているが、構造自体はコードレビュー用のプロンプト管理や、定型的なドキュメント生成タスクにも直接応用できる発想だ。
ChatGPTやClaudeのWeb UIが会話履歴を保存するとはいえ、プロンプトそのものをバージョン管理できる形でローカルに持つという発想は、チームでのAI活用において特に効いてくる。※編集部の考察:.md ファイルとしてプロンプトを管理すれば、Gitで差分を追うことも自然にできる。ツールの乗り換えやメンバー間の共有においても、ファイルベースの管理はチャット履歴より扱いやすい。
プロンプトをコードと同様に「育てる資産」として扱う、というMcCanna氏の姿勢は、AIをより組織的・継続的に活用したいエンジニアやチームにとって参考になる視点だろう。
詳細はWorking with AI, one folder per project: every session creates compounding value – blogを参照していただきたい。