10月10日、OMG! Ubuntuが「Ubuntu now has official desktop images for RISC-V」と題した記事を公開した。Canonicalが初めてRISC-V向けの公式Ubuntuデスクトップイメージを提供開始したことを伝える内容だ。
RISC-Vは特定企業に依存しないオープンソースの命令セットアーキテクチャとして、半導体・組み込み・エッジコンピューティング領域で急速に採用が広がっている。Fedora、Debian、openSUSEといった主要Linuxディストリビューションが相次いでRISC-V対応を強化する中、Canonicalもその流れに加わった。今回の対応により、RISC-VはサーバーOSとしてだけでなく、デスクトップOSの現実的な選択肢として一歩大きく踏み出した形だ。
何が変わったのか
これまでUbuntuのRISC-V向けサーバーイメージは数年前から存在しており、その上にGUIを手動でインストールすることは可能だった。しかしデスクトップがプリインストールされた公式インストールイメージはCanonicalから提供されていなかった。
RISC-V向けUbuntuデバイス(タブレット、ラップトップ、シングルボードコンピューター)を販売してきた各社は、自前でリカバリーイメージをビルド・ホストしなければならない状況が続いていた。今回のリリースでその状況が解消され、64ビットRISC-V(RVA23以降)向けの公式デスクトップイメージが、Intel/AMD・Arm64と同じダウンロードページから入手できるようになった。
2種類のイメージが用意された理由
提供されるのは以下の2種類だ:
- Ubuntu 26.10(GNOMEデスクトップ) — 実機での快適な動作を想定
- Xubuntu 26.10 minimal — 軽量・高速起動を重視した構成
なぜ2種類かというと、QEMU上でGNOMEデスクトップを起動すると最大30分かかることが背景にある。実機を持たない開発者がQEMUでRISC-Vをエミュレートしてテストするケースは多く、そうした用途向けに軽量なXubuntu版が用意された。実機(SpacemiT K3)上ではGNOME版も「快適なデスクトップ体験」を提供できるとされている。
SpacemiT K3:CanonicalがSpacemiTと共同で取り組んできたボード。RVA23プロファイルに対応したRISC-Vハードウェアとして、Canonical公認の開発・テスト環境として位置づけられている。
RVA23:RISC-Vのアーキテクチャプロファイルの一つ。Canonicalは2025年6月にRVA23以降のハードウェアのみをサポート対象とする方針に切り替えており、それ以前の古い・低性能なボードは対象外となっている。
ここに至るまでの技術的経緯
今回の公式イメージ提供は一夜にして実現したわけではない。Canonicalはこれまでに複数の技術的取り組みを積み重ねてきた。
- FlutterへのRISC-Vサポート追加:OSインストーラーを含む多くのUbuntuアプリがFlutterを使用しており、Flutter自体のRISC-V対応が前提条件の一つだった
livecd-rootfsの変更:デバイスツリーを扱えるよう修正が必要だった- ビルドパイプラインの拡張:riscv64のISOを生成できるようUbuntuのビルド基盤を更新した
現時点での制限と注意点
CanonicalのValentin Haudiquetは、現行のイメージはいずれも「実験的」であり「公式サポートなし」と明言している。正式版は2026年10月15日リリース予定のUbuntu 26.10に合わせて提供される見込みだ。
また、App CenterなどいくつかのデスクトップSnapはまだRISC-V対応が完了していない点も把握しておく必要がある。実用上の制限として事前に認識しておきたい。
LTSが必要な場合は、Ubuntu 26.04.1 LTS riscv64デスクトップISOも別途提供されている。ただし現時点ではSpacemiT K3のサポートは含まれておらず、近日対応予定とされている。
テストイメージのダウンロード先:
- Ubuntu 26.10(GNOME):cdimage.ubuntu.com の daily builds フォルダ(「stonking」はUbuntu 26.10のコードネーム)
- Xubuntu 26.10(minimal):Xubuntu daily builds フォルダ
RISC-V向けLinuxデスクトップのエコシステムはまだ発展途上だが、世界最大のLinuxディストリビューションの一つが公式イメージを提供し始めたことの意義は小さくない。ハードウェアの普及と並行して、今後の対応範囲の拡大が期待される。
詳細はUbuntu now has official desktop images for RISC-Vを参照していただきたい。