10月9日、Denoが「Deno is joining Cloudflare」と題した記事を公開した。この記事では、DenoチームがCloudflareに合流し、Denoランタイムおよびサービスの開発を段階的に終了することについて詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
DenoチームがCloudflareへ合流——ランタイムは1年後に開発終了
JavaScriptランタイム「Deno」の開発チーム全員がCloudflareに合流することが正式に発表された。Node.jsの生みの親でもあるRyan Dahl(ライアン・ダール)が率いるDenoチームが、Cloudflare Workersチームと統合される形だ。
これは単なる買収発表ではなく、DenoランタイムおよびDeno Deployの開発・運営が終了するという発表でもある。JavaScriptエコシステムへの影響は小さくない。
今後のDenoの扱い——具体的なタイムライン
発表によると、各サービスの対応は以下のとおりだ:
- Denoランタイム:あと1年間、月次リリースでバグ修正・セキュリティアップデートを継続。その後、Denoチームによる開発は終了。リポジトリはオープンソースのまま残り、コミュニティによる継続開発は歓迎される。
- **Deno Deploy**:6ヶ月間の継続運営後にシャットダウン。有料ユーザーにはCloudflare Workersへの移行サポートを提供。
- **JSR(JavaScript Registry)**:運営継続。インフラはCloudflareに移管。
- **rusty_v8**:引き続きサポートし、workerdへの統合を目指す。
なぜCloudflareなのか
Ryan Dahlは以前、JavaScript Containersというブログ記事で「コンピュート・ストレージ・通信が一体となった環境を、各アプリが自前でインフラを組まずに使えるようにしたい」という構想を語っていた。
Deno Deployはその実現へ向けた一歩だったが、開発・運営を通じて「デベロッパー体験の下に残る複雑さ」の大きさを実感したという。その答えとして生まれたのが**celld**だ。Cloudflare Workersのプログラミングモデルを基盤に、スケーリングをインフラではなくプログラミングモデル自体に組み込むという設計思想を持つ。
「Deno → Deno Deploy → celld」という進化の流れが、今回のCloudflare合流の必然性を説明している、とDahlは記している。
特にAIエージェント領域において、Durable Objects(CloudflareのステートフルなWorker実行単位)が持つ「サーバーレス実行・永続ステート・WebSocket・高レベルJavaScriptインターフェース」の組み合わせが有効だとも述べており、これがcelldがDurable Objectsを中心に据えている理由だとしている。
エンジニアへの影響
DenoはNode.jsの反省から生まれたランタイムとして、TypeScriptネイティブサポート・セキュリティサンドボックス・標準ツールチェーンの内包といった特徴でエンジニアの注目を集めてきた。その開発チームがCloudflareへ合流し、独立したランタイムの開発を打ち切るという決断は、コミュニティに大きな波紋を呼んでいる。
Hacker Newsでは発表直後から議論が白熱した。
"This is a bummer. Deno was the most promising server-side JS runtime. Hope the community picks it up."
(Hacker Newsユーザー)
"JSR surviving is the important part for me. The registry has been great."
(Hacker Newsユーザー)
一方で、Cloudflare Workersへの統合に期待する声もある。Workers自体がすでにDenoに近いセキュリティモデルと標準API対応を備えており、「実質的な後継」として受け入れる開発者も少なくないようだ。
なお、今回の発表の詳細はCloudflareブログにてRyan DahlとKenton Varda(Cloudflareエンジニア)の共同投稿でも公開されている。
詳細はDeno is joining Cloudflareを参照していただきたい。