10月6日、TechStartupsが「Meta cuts Claude users by 50% as Microsoft slashes AI budgets from $100K to $10K per employee ahead of Anthropic IPO」と題した記事を公開した。MetaとMicrosoftがAnthropicのClaude利用を大幅に削減しており、Anthropic IPO直前のタイミングで企業AI調達戦略の転換が鮮明になっている。一方でAnthropicの年換算収益は急成長を続けており、その持続性が市場から問われる局面に入っている。
MetaのClaude利用者が60,000人から30,000人へ半減
The Informationの報道によると、Meta社内でClaude Codeを利用する従業員数は、今年初めの約60,000人から現在は約30,000人に減少した。Microsoftも同様に、社内のAI予算をAnthropicに費やす規模を大幅に縮小。クラウド・AIグループ(従業員6万人超)が個別社員に認めていたモデル利用上限は、かつて従業員1人あたり月100,000ドルだったものが、現在は多くのケースで月10,000ドルまで引き下げられた。
Microsoftは今年初め、Anthropic技術の社内利用費が年間10億ドル以上のペースで推移すると見込んでいた。その見通しはすでに3分の1以上引き下げられている。
「Claudeonomics」と呼ばれたトークン消費競争の末路
Metaのケースは、財務管理が整う前に従業員のAI実験を野放しにするとどうなるかを端的に示している。
Meta社員はClaude Codeを積極的に使い込んだだけでなく、一部の社員は「tokenmaxxing(トークンマックシング)」と呼ばれる行動に走った。社員が自作したリーダーボード「Claudeonomics」でAI利用量を競い合うという現象だ。その結果、Metaは直近の28日間でClaude Codeに1億500万ドル以上を費やしたとされる。
その後、経営側が引き締めに転じた。利用者半減の背景にはレイオフも一部含まれるが、Metaは自社製AIへの移行を積極的に推進している。
- MetaCode(社内コーディングツール):ユーザー数30,000人超
- Muse Code(Claude Codeの対抗ツール、Metaモデルベース、外部顧客向けにテスト中):社員ユーザー6,000人超
さらに注目すべき動きがある。Metaは消費者向けAIエージェント「Muse」の開発段階でClaudeを使用していたが、先月の正式ローンチ前に自社モデルへ切り替えた。大口顧客がClaude利用で得た知見をもとに自社システムを構築する、というリスクがAnthropicに現実として突きつけられている格好だ。
Anthropic IPOを直撃するリスク
このタイミングは、Anthropicにとって特に痛い。同社は現在、評価額2兆ドル超を目指してIPOを準備中だ(関連記事)。同社はこれまでに126億ドルを費やして46億ドルの売上を計上しており、IPO評価額の妥当性をめぐって収益の成長性・顧客集中度・計算コストが投資家から厳しく見られる局面に入っている。ロイターの報道によると、Anthropicの非公開IPO目論見書では、**2社の匿名顧客が2025年売上の24%**を占めていたことが明らかになっている。顧客集中度の高さは、今回のような大口顧客の利用縮小が業績に直結しやすい構造的なリスクでもある。
ただし、Microsoftがすべての契約を縮小しているわけではない。社内利用は減ったものの、Microsoft製品経由でのClaude提供によって顧客利用が拡大しており、Anthropicへの総支払額はほぼ横ばいで推移しているとThe Informationは伝えている。
Anthropicの年換算収益(ARR)は7月時点で650億ドル超と報じられており、年初から7倍以上に急増している。しかし今、企業AIが「実験フェーズ」から「CFOがコストを精査するフェーズ」に移行しつつあるなかで、そのペースが維持できるかどうかが問われている。
ユーザー課金型のAIコストは、社員やAIエージェントが大量のトークンを消費することで急膨張しやすく、予測が難しい。この問題はAnthropicだけでなく、企業向けAI市場全体に共通する構造的な課題でもある。
詳細はMeta cuts Claude users by 50% as Microsoft slashes AI budgets from $100K to $10K per employee ahead of Anthropic IPOを参照していただきたい。